柏木集保

 
柏木集保(かしわぎしゅうほ)

柏木集保(かしわぎしゅうほ)

生年月日:1948年3月18日(68歳)

日本を代表する競馬評論家。日刊競馬編集長の肩書を持つ。その他、各メディアへの寄稿や競馬イベントにも積極的に参加し、競馬の人気向上にも尽力するカリスマ予想師だ。
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個人的に柏木氏の予想は全く参考していないが、彼のレースの回顧や各馬に対する寸評は面白くて愛読している。その中で、先日のエリザベス女王杯で物議を醸した1コーナーでの不利について下記の様に語っていたのでご覧頂きたい。
 
わたしは関東のエースである蛯名正義騎手の活躍を尊敬するファンのひとりであり、 大きく頼りにしているが、このレースに騎乗していた「ムーア、デムーロ、ルメール」騎手あたりだと、一気に手綱を引いて立ち上がったりはせず、またあの不利が(このレースでは)すべてだったと、そのことだけを敗因にはしないように思う。

騎手は混戦の馬群に入ったら、たしかに命がけである。だからみんな細心の注意を払っている。G1のビッグレースで最初のコーナーのポジション争いはきびしい。とくに危ない。外から 「わずかに内側に斜行し…」と戒告された福永騎手は、少しきびしい寄り方だったかもしれない。

でも、マキシマムドパリの武豊騎手も、マリアライトの内側にいたミッキークイーンの浜中俊騎手も、マリアライトの蛯名騎手が手綱を引いてバランスを崩しかけたことなど一瞥もせず、 まったく何事もなかったように前方をみてレースを進めている。

いま、騎手界のエース格になった蛯名正義騎手(47)は、もう以前のように不利を必要以上にアピールするような若いころのオーバーアクションがなくなったことはみんな知っている。けれど、今回の裁決の判断は、とっさに危険を察知してマリアライトを引いた蛯名騎手の騎乗を素晴らしいとしながらも、しかし……、であった。オーバーアクションの蛯名正義の名残りはまだ全面的には消えていなかったのだ、と、再三パトロールビデオをみながら考えてしまった。

マリアライトと、蛯名騎手は、わずかな斜行の被害者である。危険を未然に防いだ。ただし、シャルールの福永騎手は加害騎手というほどでもない。多頭数のG1レースでは、みんな厳しく攻め合うのは当然であり、活躍する蛯名騎手が見えない加害者だったレースは、被害を受けたレースと同数のはずである。興奮のレース直後とはいえ、実は、「あの不利がすべてだった」というトーンの振り返りが物足りなかったのである。
 
…オーバーアクションってw

蛯名騎手は騎乗後のコメントで『死ぬかと思った』的な発言もしていた様だが、それだけ多大な不利を受けたのならその原因となった加害馬の騎手には相応の罰が与えられた筈。しかし、当の斜行したシャルール騎乗の福永騎手に対しては戒告処分のみとなっている。つまり、JRAサイドの見立てとしても審議の結果、“そこまで言う程の不利でもなかった”と言う事である。

筆者の見解も、確かに不利はあったのだろうが決着に大きく影響を及ぼす程の重大なものでは決して無いと言う所に落ち着いている。今回の柏木集保氏のコラム内容には激しく同意である。
 

問題のパトロール映像

 

2016年11月13日 エリザベス女王杯 【1コーナー・パトロールビデオ】

 
ご覧頂けただろうか??

この画像ではあれだけ大きなアクションになる被害をどこで受けたのかがよく分からない。当然、ピンク帽のシャルールがやや行きたがりながら前に付けに行く素振りは確認出来る。その内にいた武豊騎手騎乗のマドモアゼルパリに寄って行っている様な感じも見受けられる。が、よく見てみると不利を受けたと思われる瞬間の手前からマリアライトの口は割れ蛯名騎手が手綱を引っ張っている様にも思われ、正直言って事の真相は掴めないのである。

ただ一つ確信を持って言えるのは、これは最も格の高いGⅠレースであり各陣営が勝つ為の戦法を必死に考えて臨んでいる1戦という事。そして、その為に重要でもあるポジショニング争いで最も激しくなる1コーナーでは多少の不利も想定しておかなければならないという点は間違いない。それを前提と考えるならば、このシーンは普通にあって然るべき内容なのだ。

逆を言えば、これくらいの斜行で後ろがオーバーアクションを起こした事により加害者とされた福永騎手が戒告処分を受けたという事そのものが被害なのではないだろうか。よって、この立ち上がるリアクションで演じた蛯名騎手が加害対象と言っても過言ではない。よく、サッカーの試合であたかもファールを受けた様に装って見せそれがかえってイエローカードの対象となるシミュレーション行為となるのと同じである。むしろ、戒告処分は蛯名騎手が受けるべきだろう。
 

日本ダービーでも批判を受ける蛯名騎手

 
以下は今年の日本ダービー後に別の人がコラムで書いていた内容である。
 
一番強い馬が勝つとは限らないのが競馬なので仕方がないですが、ちょっと残念だったのは蛯名騎手のレース後 「(ゴール前で寄られ)運がなかった」とコメントしていたことです。

ダービーの1番人気馬なので、他馬から厳しいマークを受けるのは当然だし、(ルールの範囲内で)進路を塞がれたり、ぶつけられたりするのは想定して乗らないといけない。

そして、それらを跳ね返すくらいの競馬をしないと悲願は達成できないと思うからです。どこか他人事のようにみえるコメントをみて、なかなか思いが届かない原因をみつけたような気分になりました。
 
なるほど、その通り。確かに、日本ダービーなどのレースでは『何が何でも俺が勝つ!!』という意気込みが無い限り、勝利に至る騎乗は出来ない様に思えるのである。

よく日本ダービーを“最も運の良い馬が勝つ”という風に表現されるが、それはあくまで勝ちに対して貪欲に最善を尽くした馬のみがあやかれる運であり、ハナから運に頼ってレースをしている者には運すら見放して寄っては来ないだろう。要は、己の手で運を手繰り寄せなけれないけないのだ。

そういう意味で、このコメントは少々残念であり、蛯名騎手が日本ダービーをなかなか勝てない理由の最たるものなのだろう。このコラムにも激しく納得した。
 

まとめ

 
以上が、蛯名騎手の近頃の騎乗に対する周りの批判である。

そもそもの話だが、GⅠレースでの1番人気時に信用出来る騎手では無いというのが筆者の結論である。人気薄などの際は思い切った騎乗で穴を開けてくれるが、ガッチガチの場合は疑ってかかった方が的中の確率は高くなる様に思える。

何より、通称“トントン騎乗”に移行してからの蛯名騎手の騎乗スタイルそのものに疑問を感じてしまう。実際、その代表格である西の岩田騎手と東の蛯名騎手の成績が共に芳しくないのもそれが原因なのではないかと感じている。一先ず、今回の不利について柏木氏のコラムを通して振り返ってみた次第。

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