日本の暴れん坊が遂にヨーロッパへ

 
エイシンヒカリ

エイシンヒカリ

父:ディープインパクト
母:キャタリナ
母父:Storm Cat
所属:坂口正厩舎(栗東)

通算成績:11戦9勝
主な勝ち鞍:香港C(GI)など
via google imghp
 
一昨年のアイルランドTの超斜行劇で一躍人気者となったエイシンヒカリ。その後は鞍上が武豊騎手へと変わり、その荒れた気性も徐々に修正されて行く。結果、競馬で我慢を覚えるようになり昨年末の海外G1を勝利するまで至った。

当初は今年の緒戦を4月のクイーンエリザベス2世Sに予定していたが、体調が整わず出走を断念。その仕切り直しとして5月からのヨーロッパ2連戦へと矛先を変えた。

そこで今回は参戦を予定している2レースの各詳細について触れてみたいと思う。
 

①イスパーン賞

 
イスパーン賞(G1)・ロンシャン競馬場

イスパーン賞(G1)・ロンシャン競馬場

右回り・芝1850m
賞金総額:25万ユーロ(約3000万円)
1着賞金:約14万ユーロ(約1700万円)
via google imghp
 
フランスは凱旋門賞と同舞台、ロンシャン競馬場で行われる中距離G1戦。過去には1999年にエルコンドルパサーが挑戦し、クロコルージュの2着に敗れており日本馬の優勝はまだ無い。上にもあるが、ヨーロッパのレースの賞金はかなり安くG1と言えど日本のG3以下のレベルである。金額よりも名誉を求めての栄えある挑戦に拍手を送りたい。なので、是が非でも勝って頂こう。
 

②プリンスオブウェールズS

 
プリンスオブウェールズS(G1)・アスコット競馬場

プリンスオブウェールズS(G1)・アスコット競馬場

右回り・芝2000m
賞金総額:約52万ポンド(約8000万円)
1着賞金:約30万ポンド(約4500万円)
via google imghp
 
伝統ある英国の王室が主催する国際G1競走。ロイヤルアスコット競馬場開催のメインレースでその時期のヨーロッパ中距離最強決定戦である。昨年も藤沢和厩舎所属のG1馬・スピルバーグが挑戦するも6着に敗退した。イスパーン賞同様、過去に日本馬の勝利はなく、仮にエイシンヒカリがここを連勝すると歴史的快挙となるので大いに期待したい。
 

エイシンヒカリの過去のレース動画

 

2014年・アイルランドトロフィー(OP)

1着:エイシンヒカリ(横山典)
2着:エックスマーク(蛯名正)

暴走気味に飛ばして逃げ大差を付け4コーナーへ。そこからは動画をご覧頂きたいが、奇跡の斜行を見せ最後は外側のラチ沿いまで行ってのゴールイン。横山典騎手らしい魅せる騎乗ではあったが、このレースで激しい気性のリスクを垣間見せた。
 

2015年・香港カップ(G1)

1着:エイシンヒカリ(武豊)
2着:ヌーヴォレコルト(ムーア)

スタートから果敢にハナへ立ち自らのリズムでレースを進める。武豊騎手の絶妙のペース配分で有利に運び、直線も後続に影をも踏ませぬ逃走劇で初のG1勝利を飾る。2着にもヌーヴォレコルトが入り、日本調教馬によるワンツー決着となった。
 
この2レースを見る限り、近年はかなり落ち着いたレースぶりを見せるまでに成長したエイシンヒカリ。これも名手・武豊騎手のエスコートによるものだろう。

ちなみに、これは余談だが武豊騎手が騎乗した1800m戦での勝ちタイムが3戦中1.45.4~1.45.7の間でピッタリとまとめられているのは実に興味深い。“体内に時計を持つ男”の異名を持つ鞍上らしい数字である。逆を言えば、それだけ彼の思い通りにエイシンヒカリを制御出来ていると言う事か。
 

まとめ

 
ポテンシャル的には充分に勝負出来るレベルにあるエイシンヒカリ。

後は、初のヨーロッパ遠征が吉と出るか凶と出るか…普通に考えれば荒い気性がプラスに働くとは考えにくいのだがここに来ての大人びた競馬を見る限りでは余り心配要らないのかも知れない。筆者の記憶が確かならば、ヨーロッパ競馬の中距離路線で終始逃げ切っての勝利は無いのではなかろうか??

何より、ディープインパクト産駒で欧州競馬を勝利する事はキズナ以来であり、日本のブリーダーたちが歓喜する最高の瞬間だろう。その全国中のホースマンたちの想いを一身に背負いつつ、エイシンヒカリ&武豊騎手には華麗なる逃走劇を見せて欲しいものである。

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