JRAを悩ます「エージェント問題」
3月上旬、関東のベテランジョッキーである蛯名正義騎手のエージェントが解除されていることが判明。さらにその翌週には同じ美浦を拠点にしている横山典弘騎手までもがエージェントの契約を解除していた。長年に渡って日本競馬のトップに君臨してきた二人の大御所騎手のエージェント解除騒動。何があったのかと思えば、JRAのエージェント制度改革に向けた動きが事の発端のようだ。
きっかけは競馬ファンからJRAへかかってきた苦情の電話だったようです。
例えば、ある騎手を担当するエージェント(トラックマン)が紙面でその騎手が騎乗する馬に重い印を打って凡走することがある。それが「馬券操作ではないのか」というようなものらしい。
あるいはその逆で担当騎手の馬がすごく気配が良いのに印を打たずエージェントが自分で馬券を買って儲けることができるんじゃないか?とか。
そこでJRAは、現在のエージェント制度(騎乗依頼仲介者制度)を廃止し、来年1月から新たに「騎手代理人制度」なるものを運用すべく動きだしたのです。(競馬解説者)
騎手本人に代わって調教師や厩舎関係者と接触して騎乗馬の交渉や確保を行うがエージェントの役目。1人のエージェントが担当できる騎手は最大で、3人+減量騎手1人と決まっており、現在では専門紙のトラックマン、元トラックマンがそのほとんどを担っている。
JRAが改善しようとしている新制度は、競馬ファンが抱く「エージェントによる馬券操作疑惑」を払拭し、そういった予想をできる人物を排除しようというものらしい。これによって、「エージェントはトラックマン以外の者」、「1人のエージェントが担当できるのは1人だけ」という新ルールが設けられる可能性が高い。
今年に入ってからJRAは騎手会、調教師会と意見交換の場を開いた上に、各エージェントに対しても説明会を行った。その結果、前述の蛯名正義騎手、横山典弘騎手は「それなら今後エージェントに頼むのはやめる」と新ルールを待たずに自ら営業をかけて騎乗馬を確保することにしたという。
騎手会が猛反発
JRAが提言する新制度に対して、騎手会のみならず調教師会も困惑しているようだ。特に関西騎手会が猛烈に反発しており、匿名で行ったアンケート調査では圧倒的に反対の意見が多かった。
関西の代表格である福永祐一騎手は「トラックマンにやってもらわないと自分は成り立たない。独立して騎乗馬を集めるのは困難」と訴えている。
関西の代表格である福永祐一騎手は「トラックマンにやってもらわないと自分は成り立たない。独立して騎乗馬を集めるのは困難」と訴えている。
福永祐一騎手の言う「独立」とは、新聞社に所属していないフリーの記者を指している。なので、その騎手一人のために専属として働く代理人ということになる。それならJRAの定める新ルールに反することもないが、福永祐一騎手が訴える懸念材料は別にある。
エージェントの取り分は騎手が手にする賞金の5%が相場とされています。
もしも1年に4000万円ほど稼ぐ騎手であれば、取り分は200万円。それでは暮らしていけません。
現在のエージェント(トラックマン)は本職の延長線上としてやっているので全く問題ないわけですが。
例えば、担当騎手が落馬事故で大ケガして半年休むことになったらその間の生活保障はどうするのかという問題もあるでしょう。(競馬解説者)
まとめ
仮にエージェント制度が改善されても、現在のエージェントが3人の騎手を担当している場合、残りの2人と契約を解除しなくてはいけなくなる。当然、騎手としての実力が高い人を1番手に選ぶことになるが、省かれた騎手はどうなるのか。
さらに現在多くの外国人騎手が短期免許で来日するなか、誰がマネージメントをするのかも問題となる。
すでに蛯名正義騎手、横山典弘騎手はエージェント制度から身を引いているが、騎手1人で騎乗馬を確保することは今のご時世だとかなり難しい。柴田善臣騎手は「俺なんか1人でできるわけないじゃないか」と嘆いており、長年トップジョッキーとして活躍してきた騎手でも乗鞍ゼロの状態が今後多く発生する可能性が高い。
さらに現在多くの外国人騎手が短期免許で来日するなか、誰がマネージメントをするのかも問題となる。
すでに蛯名正義騎手、横山典弘騎手はエージェント制度から身を引いているが、騎手1人で騎乗馬を確保することは今のご時世だとかなり難しい。柴田善臣騎手は「俺なんか1人でできるわけないじゃないか」と嘆いており、長年トップジョッキーとして活躍してきた騎手でも乗鞍ゼロの状態が今後多く発生する可能性が高い。
この問題を解決にするには、JRAが「エージェント」と「馬券操作」は一切関わりがないことを潔白するしかない。実際問題、エージェントが馬券操作なんかできるはずがなく、逆に競馬のレベルそのものが落ちる気がする。
JRAにはこの問題をいち早く鎮めてもらい、騎手にはレースで最高のパフォーマンスを出すことだけに専念してほしい。
JRAにはこの問題をいち早く鎮めてもらい、騎手にはレースで最高のパフォーマンスを出すことだけに専念してほしい。
生年月日:1976年12月9日(40歳)
身長:160.0cm
体重:51.0kg
血液型:B型
主な騎乗馬:エイシンプレストン・ダイワエルシエーロ・メイショウボーラー・シーザリオ・レーヴディソール・ジョワドヴィーヴル・エピファネイア・ジャスタウェイ・ビッグアーサー・ヴィブロスなど