帰国後すぐに中1週ローテ??

 
ラニ 牡3歳

ラニ 牡3歳

父馬:Tapit
母馬:ヘヴンリーロマンス
母父:サンデーサイレンス
所属:松永幹夫厩舎(栗東)
生産:North Hills Management(米)
馬主:前田幸治

通算成績:9戦3勝(3-1-1-4)
主な勝鞍:UAEダービーなど
via google imghp
 
遂にラニを走る姿が日本で観られる-。

今週末の東京で開催されるブラジルCに登録されたのを受けワクワクしていたのも束の間、陣営から驚きの告白が。某競馬新聞社の発表によると、ブラジルCから中1週のローテーションで京都のみやこSにも出走を予定しており、激戦のアメリカ遠征から帰国して尚、超強行軍でラニの体を仕上げて行くと算段の様だ。

確かにその米クラシックでも約1ヶ月の期間内で3戦をこなし、尻上がりに着順を上げて行った様に元々は叩いて良くなるタイプだろう。しかし、何と言ってもUAEダービー馬でベルモントSで3着に入った実力馬である。そんな歴史的快挙を達成した馬が、日本の競馬でオープン→GⅢを中1週で回される事に違和感を覚えたのは筆者だけでは無い筈だ。
 

ラニローテの確立か

 
ふと気になったので調べてみると、ドバイへ遠征する前の未勝利→カトレア賞時も連闘での勝利だった。しかもその京都→東京という遠征をむしろプラス体重で出走しているだけに、ラニの精神力は相当なまでに図太い。その後、2ヶ月空いたヒヤシンスSではあっさりと敗退している事からも間隔を詰めて使わないと馬の気が抜けてしまうのだろう。松永幹夫調教師を始め、厩舎スタッフはその特徴を掴めているからこその今回の判断に至ったと思われる。

実際、ケンタッキーダービー~ベルモントSまでの3戦でも同様の結果が出ている様に、今はラニのパフォーマンスを上げる上でこのローテーションが最も適している。今年の最大目標がチャンピオンズCだからこそ、逆算してこのプランが浮上して来たのも頷けるのである。
 

鞍上は内田博幸騎手

 
内田博幸騎手

内田博幸騎手

見よ、内田博幸騎手の鍛え抜かれたこの身体。南関東で培われたバテた馬を追い続け少しでも持たせるスタイルとその豪腕ぷりはJRA内でも屈指の存在だ。やはり、ダート戦では元地方出身の騎手の方が遥かに上手いという仮設は正しい。砂の上での戦いはその場数からして全く違う。
via google imghp
 
現在の想定だと、ラニの鞍上には内田博幸騎手が確定。

主戦の武豊騎手は本番のチャンピオンズCでも同厩舎の先輩且つ兄であるアウォーディーに騎乗予定の為、カトレア賞で勝利に導いた内田博幸騎手とのタッグで参戦するものと予想される。反応が遅くズブい走りの馬だけに内田騎手との相性は抜群に良い筈。
 

2015年11月28日 カトレア賞 ダート1600m 東京競馬場

1着:ラニ(内田)
2着:オーシャンビュー(嘉藤)
3着:マイネルバサラ(柴田)

レースタイム:1.37.4(稍重)
レース上がり3ハロン:37.6
勝ち馬上がり3ハロン:37.2
 
今年の2月に行われたカトレア賞を見ても一目瞭然。

出が悪いのはもはや周知の事実だが、特にこのマイル戦では明らかに他馬とのスピード感の違いで発馬からかなりの遅れを取っている。画像を細かくチェックすると確認出来るのだが、鞍上の内田騎手もスタート~ゴールまでずっと追い通しの状態。

基本的に2000m以上の距離がベストのラニにとっては短距離戦になればなる程、ロングスパートで追える騎手こそ最高のパートナーと成り得るのである。同じタイプのゴールドシップを育て上げた内田騎手はまさに打ってつけだ。
 

チャンピオンズCは1800m

 
以上の推察から、正直チャンピオンズCの1800mもラニにとってはやや短い舞台と言える。

そこで練られたのが、ブラジルC(2100m)~みやこS(1800m)~チャンピオンズC(1800m)という距離短縮型のステップという事ではないか。先ず、初戦はほぼ叩き台&気合いを入れる為のレースとしてブラジルCに出走→同距離で且つ時計も速くなりやすいみやこSで本番を見据えたスピードを覚えさせる→ラストのチャンピオンズCで最高の仕上げに持って行く…そう考えると、ラニにとっては非常に効率性の高いプランなのかもしれない。

これは、アウォーディーやアムールブリエなどのヘヴンリーロマンス一族を全て管理して来た松永幹夫師だからこその采配とも言えるのではないだろうか。
 

まとめ

 
最初、このローテーションを聞いた時は自分の耳を疑ったが、じっくり検討すればラニがチャンピオンズCへ向かう上で最良の選択という事が分かった。

現状、日本での成績は500万下を勝った所で終わっているので、ネット上ではラニの実力に疑問符を抱いている人も少なくない。しかし、ドバイ遠征や米クラシック参戦時の走りを見る限り、どう考えても日本のGⅠクラスという見解で間違いない筈。但し、気性的にかなりヤンチャな部分もある為、自分の気が乗らなければ全く走らない危険性も秘めた馬という事は確かである。

そういう意味でも、帰国初戦のブラジルCでのラニが一体どんな結果を見せるのか非常に楽しみな1戦である。海外での経験を糧に大人になって圧勝するか、春までの様に何をしでかすか分からない暴れん坊キャラで見事に惨敗するか…いずれにせよファンを盛り上げる馬なので、是非とも注目して今週末のレースを観て頂きたい。

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