オークス馬の復帰叶わず 無念のリタイア
今年のオークスを制した世代トップの実力馬シンハライトの引退が所属するキャロットファームのホームページで発表された。近日中に競走馬登録を抹消される模様。
シンハライトは、秋初戦のローズSを圧巻の末脚で制した後、大一番の秋華賞に向けて調整されていたが、その矢先に全治9ヶ月以上の左前浅屈腱炎が判明。北海道ノーザンファームで療養し約一年後の復帰を目指していたが、良化する見込みが極めて薄くなったため、現役を退くことになった。今後はノーザンファームにて繁殖牝馬として第二の人生を歩むことになる。
シンハライトは、秋初戦のローズSを圧巻の末脚で制した後、大一番の秋華賞に向けて調整されていたが、その矢先に全治9ヶ月以上の左前浅屈腱炎が判明。北海道ノーザンファームで療養し約一年後の復帰を目指していたが、良化する見込みが極めて薄くなったため、現役を退くことになった。今後はノーザンファームにて繁殖牝馬として第二の人生を歩むことになる。
全6戦中4度のハナ差決着!驚異の勝負根性でファンを魅了
2歳の昨年10月に京都で初陣を迎えたシンハライトは、デビュー戦を1番人気に応えて見事に快勝。続く紅梅S→チューリップ賞とハナ差でものにし、3戦無敗で桜花賞へ向かう。
クラシック一冠目の桜花賞では、断然の1番人気に支持された2歳女王メジャーエンブレムに次いで2番人気の支持を受ける。道中はメジャーエンブレムをピッタリマークする形から、直線では33秒7の末脚で抜け出し、完全にシンハライトの勝ちパターンに持ち込んだものの、それを上回る33秒0の末脚で追い込んできたジュエラーにゴール前でハナ差交わされ2着。わずか2cmの差に泣く結果となった。
桜花賞で惜敗を喫したジュエラーが骨折、メジャーエンブレムがNHKマイルCに向かったことによって堂々の1番人気に推されたオークス。出脚がやや遅れ、道中は後方からのレースを強いられる展開。直線でも前が壁となり、誰もがこのまま馬群に沈むかと思ったが、残り100mで馬群を強引にこじ開け一気に差し切って勝利。多くのファンの度肝を抜くパフォーマンスでGⅠ初タイトルを手にした。
夏の休養を終えて、秋は秋華賞を目標にトライアルのローズSから始動。クロコスミアが大逃げを打つ展開のなか、シンハライトは後ろ目をじっくりと追走する。直線に入ってもクロコスミアのリードは変わらず、そのまま押し切るかと思われたが、大外から一頭だけ別次元の末脚でまたしてもハナ差交わして勝利。馬場が重のコンディションだったことを考えれば、着差以上に強い勝ち方だった。
最後に
デビュー前の北海道で初めてシンハライトと出会った池添騎手が「こんなフットワークの良い馬は久しぶり」と大絶賛したいうのは有名な話。デュランダルやスイープトウショウ、オルフェーヴルといった幾多の名馬の背中を知り尽くす名手でさえ興奮する乗り味が、あの強烈な末脚を生み出していたのかもしれない。
それが故に、圧倒的なポテンシャルに対して脚元がついていけなかったのだろう。屈腱炎という不治の病にかかってしまった以上、誰も責めることはできないが、シンハライトなら過去の名牝と肩を並べられると思っていただけに3歳での引退は誰もがショックだろう。
それが故に、圧倒的なポテンシャルに対して脚元がついていけなかったのだろう。屈腱炎という不治の病にかかってしまった以上、誰も責めることはできないが、シンハライトなら過去の名牝と肩を並べられると思っていただけに3歳での引退は誰もがショックだろう。
通算6戦ながらGⅠを含む重賞3勝。唯一の黒星はハナ差2cmで負けた桜花賞と牝馬離れした勝負根性は多くのファンを魅了してくれたと思う。これからは母としてシンハライト以上の仔を産んでもらいたいし、第二の人生を精一杯応援したい。いつかシンハライトから名馬が誕生しますように。
母:シンハリーズ
母の父:シングスピール
調教師:石坂正(栗東)
馬主:キャロットファーム
生産者:ノーザンファーム
通算成績:6戦5勝