中央競馬史上初の2万回騎乗達成

中央競馬史上初の2万回騎乗達成

武豊騎手のコメント
『この記録は勝ち負けに関係なく達成されるので、気楽に迎える事が出来ましたね。笑…正直実感が余り湧かないですけど、初めて乗った時の事を思うと考えられない数字です。改めて関係者の方々に感謝の気持ちで一杯ですし、これだけの数をこなしてもレースは相変わらず難しいなと痛感しています』
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武豊騎手はどこまで行ってもやはり天才なのである。

イチロー選手が大きな故障もなく新人の時からこれまでずっと最前線を走り続けている様に、武豊騎手も同じく日本競馬の中心でキャリア30年間も走り続けた超一流プレイヤーだ。

勿論、他のスポーツよりも遥かに危険度の高い職種である為、一切の怪我をせずにという事は難しい。それでも、武豊騎手はその度に不屈の精神で何度も舞い戻っては活躍するという鉄人でもある。

そういう意味では、そこら辺のアスリートより何倍も何十倍も過酷な状況下で働いているのである。その上での20000回騎乗はちょっと普通の頭では考えられない領域なのだ。
 

大スランプからの復活

 
2013年のダービーをキズナで制した武豊騎手

2013年のダービーをキズナで制した武豊騎手

当時、様々な事柄が重なってなかなか騎乗馬が集まらなかった時期だった。

全盛期の頃よりも勝利数も減り、武豊騎手の華やかな騎手人生の中でも最も苦しく辛かったシーズン真っ只中。それでも、挫けず数少ないチャンスをモノにして見事にカムバックを果たしたのである。
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とある取材で、武豊騎手もその頃を振り返りながらこう話している。

『「奴はもうダメだろうな」とか「あいつの時代は終わった」なんて事は、どんな世界でも起こり得る話じゃないですか。その時に、“自分だけはそこに流されちゃいけない!!”ってずっと思いながら戦ってましたね。周囲の人がそう思うのは仕方のない事ですけど、自分がそう感じてしまったら現実もそうなって行くもの。だから、絶対に自分だけはその空気に流されまいと意識してやってました。強がるという事は全然なかったですけど、諦めムードに乗っかちゃったら終わりだと思っていました』

という、本人なりの哲学があったのだ。競馬ファンとしては、完璧なまでにシーズンを通して勝ちまくっていた武豊騎手の姿を知っているだけに、スランプに陥ってしまった時は本当に心苦しかった。

それが、その2013年のダービーでの復活劇を機に、また再び脚光を浴びるポジションに登り詰めた武豊騎手。それらひとつひとつの積み重ねがこの前人未到の2万回騎乗に繋がったのだろう。
 

今年の活躍は特に凄まじい

 
ドバイのUAEダービーをラニで制する

ドバイのUAEダービーをラニで制する

今年のトピックとしては、ラニとのタッグが必出。

3月にUAEダービーを勝利した後、本馬と共に米クラシック3冠へフル参戦を果たした。これは日本調教馬として初めての快挙であり、最後のベルモントSではあわやの見せ場も作っての3着入線。上半期は、日本中の競馬ファンがこの名コンビの活躍に酔いしれた。
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イスパーン賞をエイシンヒカリで勝利

イスパーン賞をエイシンヒカリで勝利

そしてもう1頭のパートナーがエイシンヒカリ。

5月にフランスのGⅠ・イスパーン賞で2着以下に大差をつけ世界中のホースマンをアッと驚かせた。その結果、現在でも2016年のワールドレーティングでは世界1位の座に君臨している。年間を通して首位を守り続ければ、2014年のジャスタウェイ以来2頭目の快挙達成となる。
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まさに2016年の前半は武豊一色に染まったシーズンと言っても過言ではなかっただろう。

上記2頭の他にも、天皇賞春を制したキタサンブラックに帝王賞を勝利したコパノリッキーなど日本でも数々のGⅠを制覇し、毎週の様に何かしら武豊騎手の名前を耳にしていた。それが昔は当たり前だったのだが、近年では珍しい現象だったので彼に関する朗報を聞く度に懐かしく思えたものだった。

違う角度から見れば、武豊騎手だからこうまで各騎乗馬に注目してしまっているという点もあるかも知れない。それ程までに、人としての魅力が最大級で認められている日本競馬界のカリスマだ。いつの間にか目が追ってしまっているのである。
 

まとめ

 
『武豊』は永遠に『武豊』なのだ。

スーパークリークでの初GⅠ制覇、オグリキャップの引退レース、スペシャルウィークでの日本ダービー初勝利、ディープインパクトでの3冠達成などなど20000回騎乗の1戦1戦がまさに至極のレースばかり。今見返しても鳥肌モノの神騎乗が多く、改めて技術の高さを思い知らされる。

筆者の個人的なオススメレースは、やはりトゥザヴィクトリーでまさかの差し切り勝ちを収めた2001年のエリザベス女王杯だろう。これまで逃げ一辺倒だった馬を大舞台で脚質転換して更に図ったかの様な僅差勝ちというのが今でも記憶に新しい。

所々で『デビュー40週年までやりたいですね』とコメントしている様に、まだまだ武豊騎手の勇姿を見続けたいものである。2次は30000回騎乗の大台に向け、怪我なく無事にこれからも活躍をして欲しいと願うばかり。武豊騎手、本当におめでとうございます。

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