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競馬界におけるTPPの影響は!?

 
 15年秋、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定が、大筋合意した。実施は、早ければ16年度中、遅くとも18年度中となる。
 サラブレッド(軽種馬)に関する合意は、以下の2点になる。
●妊娠馬は、現在の関税340万円を、実施と同時に即時撤廃。
●競走馬は、現在の関税340万円を、段階的に16年目に撤廃し、低価格馬の輸入に対してセーフガードを措置。セーフガードは、輸入取引価格が発動基準価格(850万円/頭)よりも10%を超えて低い場合に、その差に応じた追加関税を加算。
 ……ということだ。これにより、
●TPP参加国間で、妊娠馬の輸出入が増える。
●TPP参加国間で、競走馬の輸出入が増える。
 

TPPのメリットは?

 
・日本の高い賞金を狙う外国人馬主が、日本での活躍馬を出すため、日本の馬場に合った日本の血統を求める。だから、馬産地は潤う。
・日本馬は年々強くなっているので、海外競馬に売り出すチャンスが増える。
・馬産地は、質の良い繁殖馬を安価で導入できるので、さまざまな血統を配合できる。だから、いずれは内国産馬もバリエーションに富んだ血統がそろうことになる。特に、日高地方は、日本の人気種牡馬に合う繁殖牝馬を取り入れることができれば、社台グループとの格差を埋められるかも知れない。
・日本人馬主(一口クラブ)は、競走馬の輸入がしやすくなるので、高額でない外国産馬を持つことができる。
 

TPPのデメリットは?

 
・生産者は、日本での馬産を諦め、海外に生産拠点をおき、競走馬を送り込む形が生まれてしまう。
・北海道庁の2013年の試算によれば、道内の年間生産額の約290億円が100億円ほど減少し、3000人の雇用が失われる可能性がある。
・現状、日高地区は、生産馬の取引価格の低下・良血馬不足による馬主離れ、地方競馬の廃止などにより、閉鎖する牧場が増えている。低価格の外国産馬が多く輸入されれば、この現状に追い討ちをかける。
・「国外不出走馬しかJRA競走馬登録ができない(国際交流競走を除く)」という現在のルールを、「国外既走馬をそのままJRAに移籍できる」というルールに変える可能性がある。だから外国馬が、日本の高い賞金を獲得する機会が増える。
・外国人馬主は、「所有馬5頭のうち4頭は内国産馬であること」、「所有馬の入厩頭数は最大20頭であること」というルールが、12年に撤廃決定された。外国人馬主は自分で牧場を持っている場合が多いがら、自家生産馬を関税なしで日本に送り込める。
 

結論!?

 
・地域差はあるが、輸送費用は1頭当たり200~400万円かかると言われる。だから、安価な外国産馬が大量に輸入されるとは考えにくい。
・外国産馬が出走できるレース(いわゆる「マル混」)は、上級レースは別にして、「新馬・未勝利・500万下」では全体の50%以下。だから、このルールが変えられない限り、日本馬はまだ守られている。
 ……だいたい、こんなところであろう。賛成反対を軽々に言うことはできないが、日本の競馬界が再び活況になることを願いたい。だから、益田とか、荒尾とか、足利とか、高崎とか、潰れた地方競馬を復活させたらどうか。

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