シンジケートとは

 
現役時代に顕著な成績を残した競走馬は、その種を後世に残すべく種牡馬として第二の人生を歩みます。その場合、相当数の種付けが見込める有力馬などにはシンジケートという分配投資で種付けの株券を所有する仕組みを利用する事が多く見受けられます。

簡単に説明すると、法人としてその種牡馬を所有し自社株=種付けの権利を発行。それを最大60口に分け、購入者を募って複数人で共同所有するという内容です。つまり、『○○億のシンジケートが組まれました』と耳にする事がありますが、あれは○○億÷60=一口の価格という計算式が成り立ちます。

出資した会員はその種牡馬の種付け権利と、会員以外への種付け(余勢種付け)から得た収益を配当として得ることが出来るという訳です。
 

ディープインパクトの場合

 
ディープインパクト

ディープインパクト

牡馬

父馬:サンデーサイレンス
母馬:ウインドインハーへア
母父:Alzao
所属:池江泰郎厩舎(栗東)
生産:ノーザンファーム
馬主:金子真人ホールディングス

通算成績:14戦12勝(12-1-0-1)
主な戦績:牡馬三冠、天皇賞春、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念など

シンジケート総額:51億円=一口8500万円
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それでは、ディープインパクトを例にして見て行きましょう。

実際にシンジケートの額が正式に発表される事は無く、伝え聞く限りおおよそで51億円と言われています。つまり、これを60で割ると一口8500万円。出資会員はこの額を支払ってディープインパクトの種付け権利を所有している事になる訳ですが…何が美味しいかって、種付けは多い時なら200頭前後の数をこなします。ディープの場合、種付け料が最高で4000万円ですから、200-60=140頭分が余勢種付けとなり、それに4000万円をかければ56億円。これを60人で割ると、諸経費を差し引いたしても一人あたり毎年8000万円以上の配当が出る計算です。それに加えて種付け株を所有しているのですから、実質1億2000万円以上の利益を毎年得られていたという事になるのです。
 

キングカメハメハの場合

 
キングカメハメハ

キングカメハメハ

牡馬

父馬:Kingmambo
母馬:マンファス
母父:ラストタイクーン
所属:松田国英厩舎(栗東)
生産:ノーザンファーム
馬主:金子真人

通算成績:8戦7勝(7-0-1-1)
主な戦績:日本ダービー、NHKマイルカップなど

シンジケート総額:21億円=一口3500万円
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次にキングカメハメハの場合。

こちらも引退時は、当時の最高額となる21億円でシンジケートが組まれました。その後、ピーク時に2500万円まで種付け料は高騰し、計算しやすく200頭の種付けをしたと仮定すると…140頭×2500万円=35億円となり、一口あたりの配当はそれだけで約5500万円程度。更に自分で所有する種付け株を加えると、毎年8000万円の配当が入るという事ですね。

で、金子真人オーナーはこの2頭を所有していたのですから、仮に一口ずつ所有していたとすると毎年2億円の配当が何もしなくても入って来たという事です。種牡馬ビジネス、恐るべしです。
 

ラムタラの場合

 
ラムタラ

ラムタラ

牡馬

父馬:Nijinsky
母馬:Snow Bride
母父:Blushing Groom
所属:Alex Scott厩舎(英)
生産:Gainsborough Farm Inc.(米)
馬主:Saeed Maktoum Al Maktoum

通算成績:4戦4勝(4-0-0-0)
主な戦績:凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、英ダービーなど

シンジケート総額:約44億円=一口1億800万円※41口
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ではラムタラの場合はどうでしょう。

1995年当時、4戦4勝で英ダービー、キングジョージ、凱旋門賞というヨーロッパの最高峰レースを総ナメにし『神の馬』と呼ばれたラムタラ。引退した翌年に日本の軽種牡馬協会が33億円という巨額を叩いて購入し、一口1億800万円で募集→41口で総額44億円のシンジケートが組まれます。少々高額な気もしますが日高地方の中小規模の牧場が日高再建をかけて大勝負に出たという事です。

初年度から1500万円という高額の種付け料を設定、112頭に交配します。しかしながら、産駒成績は一切奮わず、平地重賞を1勝した程度の実績で10年後の2006年にはイギリスに2750万円で買い戻されるのでした。最後の年は何と種付け料20万円、交配頭数31頭という大失敗の導入事例もあるのであります。色んな意味で、やはり種牡馬ビジネスは恐るべしです。
 

キタサンブラックの場合

 
キタサンブラック

キタサンブラック

牡馬

父馬:ブラックタイド
母馬:シュガーハート
母父:サクラバクシンオー
所属:清水久詞厩舎(栗東)
生産:ヤナガワ牧場
馬主:大野商事

通算成績:20戦12勝(12-2-4-2)
主な戦績:菊花賞、ジャパンカップ、大阪杯、天皇賞春・秋、有馬記念など

シンジケート総額:13億5000万円=一口2250万円
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最後にキタサンブラックの場合。

近年でシンジケートを組まれた馬と言えばキタサンブラックですね。こちらはまだ産駒の結果が出ていませんが、一口2250万円の出資に対して初年度の種付け料は500万円。一般的に一口額の5分の1程度が相場と言われていますので少し割高のイメージでしょうか。

とは言え、日高生産の馬が社台スタリオンステーションでけい用されるというのは極めて稀なケースであります。それだけ期待値も高く、良質な繁殖牝馬を用意される事からもラムタラの様に大失敗に終わる事は無いと思われます。こちらも今後の活躍次第では、北島三郎氏に更なる利益を供給する可能性も大。
 

まとめ

 
以上、『シンジケート』に対しての解説と実例のまとめでした。

信じられない程のお金が動く種牡馬ビジネス。ディープインパクトとキングカメハメハは貴重な成功例であって、それ以外に組まれたシンジケートはほぼほぼ横ばいか失敗に終わっているケースが多いのではないでしょうか。

ちなみに、2000年に年間無敗を記録し、獲得賞金でも世界一の座に輝いたテイエムオペラオーは意外にもシンジケートが組まれず、オーナーの竹園氏が個人所有した事で有名。やはり、血統が地味であればどれだけ現役で活躍しても種牡馬としての価値は生まれない様ですね。

今後はそういった観点も持ちながら、競走馬の引退後も追い掛けて行きたいと思います。

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