牡馬クラシック三冠への道のり

 
1939年に皐月賞の前身となるレースが創設され、以来牡馬クラシック三冠の正式な競走体系が確立。イギリスのクラシックに相当する競走を模範として作られており、それぞれ2000ギニー→皐月賞、ダービーステークス→東京優駿(日本ダービー)、セントレジャーステークス→菊花賞という位置づけだ。

これまで約80年間の歴史においてその三冠を達成したのは計7頭と極めて狭き門となっている。昔は『最も速い馬が皐月賞、最も運の強い馬が日本ダービー、最も強い馬が菊花賞を勝つ』という格言もあったが、近代競馬においてはあまり当てはまらない。むしろ、皐月賞を制した馬が古馬になっても活躍するケースが顕著である。
 

歴代の牡馬三冠馬

 

セントライト

 
セントライト

セントライト

牡馬

父馬:ダイオライト
母馬:フリッパンシー
母父:Flamboyant
所属:田中和一厩舎
生産:小岩井牧場
馬主:加藤雄策

通算成績:12戦9勝 (9-2-1-0)
主な戦績:牡馬三冠など
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1941年に誕生した記念すべき初めての三冠馬セントライト。『セントライト記念』というレースのお陰で名前だけは知っている方も多いが、その実績などは実は余り知られていない。ちなみに、今では考えれられないが新馬戦が3月で、その2週間後に皐月賞の前身となるレースを2戦目で制したとんでもない怪物だった。そこから約1ヶ月半後の東京優駿までに連闘を挟んで計4戦、即ち7戦目でダービーを制覇。休み明けの9月から1ヶ月後の菊花賞の前身となるレースまで4連闘で三冠達成するというよく分からない臨戦過程を踏んでいる。そしてそのレースを最後に引退、キャリアが8ヶ月という超短命の名馬であった。
 

シンザン

 
シンザン

シンザン

牡馬

父馬:ヒンドスタン
母馬:ハヤノボリ
母父:ハヤタケ
所属:武田文吾厩舎
生産:松橋吉松
馬主:橋元幸吉

通算成績:19戦15勝 (15-4-0-0)
主な戦績:牡馬三冠、有馬記念、天皇賞秋など
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1964年に史上2頭目の三冠馬となったシンザン。一般的な知識としては、セントライトよりも当馬の方が三冠馬としての認知が高いのではないだろうか。何より、19戦19連対というのは今も尚破れられる事の無い中央競馬の連続連対記録である。それだけ圧倒的な強さを誇り、三冠のほかに八大競走と呼ばれる天皇賞秋と有馬記念を制した事から五冠馬と呼ばれる事も。引退してからも、種牡馬として少ない生産頭数からミホシンザンやミナガワマンナなどのGⅠ馬を輩出し、外国馬が往来していた当時において国内産馬の灯台的存在となった。
 

ミスターシービー

 
ミスターシービー

ミスターシービー

牡馬

父馬:トウショウボーイ
母馬:シービークイン
母父:トピオ
所属:松山康久厩舎(美浦)
生産:千明牧場
馬主:千明牧場

通算成績:15戦8勝 (8-3-1-3)
主な戦績:牡馬三冠、天皇賞秋など
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1983年に史上3頭目の三冠馬となったミスターシービー。約20年ぶりのトリプルクラウンに加えて、その追い込み脚質とハミ吊りの視認性もありキャラクターの濃い馬として人気を博した。翌年に誕生する完璧なまでの強さを誇った三冠馬シンボリルドルフとは対象的に、トウショウボーイ産駒で勝ったり負けたりを繰り返す成績も人気の高かった一因だろう。今でこそ当たり前になったが、当時の競馬では考えれらない上がり33秒台の末脚はまさに電光石火。最後方から追走する走りは競馬ファンをまさに虜にした程だった。
 

シンボリルドルフ

 
シンボリルドルフ

シンボリルドルフ

牡馬

父馬:パーソロン
母馬:スイートルナ
母父:スピードシンボリ
所属:野平祐二厩舎(美浦)
生産:シンボリ牧場
馬主:シンボリ牧場

通算成績:16戦13勝 (13-1-1-1)
主な戦績:牡馬三冠、有馬記念、ジャパンカップ、天皇賞春など
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1984年に史上4頭目の三冠馬となったシンボリルドルフ。その圧倒的な強さから“皇帝”と呼ばれ、名手岡部幸雄騎手と共に数々の大レースを制覇した名馬である。三冠を無敗で制したのは当馬が初で、後にディープインパクトが現れるまでは唯一無二の存在だった。種牡馬としても、初年度産駒からトウカイテイオーを出すなど一定の成績を残し日本競馬の生産界繁栄にも貢献。とにもかくにも、ファンもアンチもその強さを誰しもが認めざるを得ない絶対的なカリスマ性の強さは後にも先にも当馬が1番だっただろう。
 

ナリタブライアン

 
ナリタブライアン

ナリタブライアン

牡馬

父馬:ブライアンズタイム
母馬:パシフィカス
母父:Northern Dancer
所属:大久保正陽厩舎(栗東)
生産:早田牧場新冠支場
馬主:山路秀則

通算成績:21戦12勝 (12-3-1-5)
主な戦績:牡馬三冠、有馬記念など
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1994年に史上5頭目の三冠馬となったナリタブライアン。“シャドーロールの怪物”と呼ばれ、ハイセイコー以来となる競馬ブームの火付け役となった貴重な存在の1頭だ。主戦の南井克巳騎手と共に圧倒的な強さで三冠を制する一方で、晩年は故障に悩まされたり引退レースとなった1200mのGⅠ高松宮杯に出走するなど迷走した競走馬でもあった。1996年の阪神大賞典でマヤノトップガンと演じた壮絶なマッチレースは、永久的に語り継がれるであろう強烈なインパクトを残した1戦だった。そういう意味でもナリタブライアンは偉大な競走馬である。半兄はビワハヤヒデ。
 

ディープインパクト

 
ディープインパクト

ディープインパクト

牡馬

父馬:サンデーサイレンス
母馬:ウインドインハーへア
母父:Alzao
所属:池江泰郎厩舎(栗東)
馬主:金子真人ホールディングス
生産:ノーザンファーム

通算成績:14戦12勝(12-1-0-1)
主な戦績:牡馬三冠、天皇賞春、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念など
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2005年に史上6頭目の三冠馬となったディープインパクト。近代競馬においてまさに最強馬と呼ぶべき比類なき1頭で、その強さを主戦の武豊騎手が『まるで飛んでいるみたい』とコメントした程。3歳時の有馬記念以外、国内で負けなかったが4歳時に挑んだ凱旋門賞では無念の3着。レース後の検査で禁止薬物が発見され失格処分にまでなっている。種牡馬としても牝馬三冠のジェンティルドンナを始め多数のGⅠ馬を輩出し、父サンデーサイレンスと共に生産界の一時代を築いた名馬としてまさに衝撃を与えた伝説の名馬だろう。これ以上の馬は恐らく今後出て来ないかもしれない。
 

オルフェーヴル

 
オルフェーヴル

オルフェーヴル

牡馬

父馬:ステイゴールド
母馬:オリエンタルアート
母父:メジロマックイーン
所属:池江泰寿厩舎(栗東)
生産:社台コーポレーション白老ファーム
馬主:サンデーレーシング

通算成績:21勝12勝(12-6-1-2)
主な戦績:牡馬三冠、宝塚記念、有馬記念など
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2011年に史上7頭目の三冠馬となったオルフェーヴル。その破天荒なレースぶりと段違いの強さから“暴君”と呼ばれる異色の存在。新馬戦ではレース後に騎手を振り落とし、阪神大賞典では4コーナーでコースを逸走しながら2着入線、凱旋門賞でも単独先頭に躍り出ながら内ラチに自らぶつかりに行き敗戦を喫するなど、まさに怪物とはこの馬の事を指して言う。戦績は不安定ながら、その潜在能力をフルで発揮した時にはディープインパクトすら敵わないのではとさえ思わせるポテンシャルで未だに“歴代最強馬”の呼び声が高い1頭である。
 

まとめ

 
以上、日本競馬における牡馬三冠馬のまとめ。

各年代において強さとは意味合いが異なり決して比較する類では無いが、それでもやはりディープインパクトとオルフェーヴルは別格級の存在だろう。日本競馬自体が進歩し続け、その証拠にこの2頭が凱旋門賞で上位争いに加われているのが何よりの証拠。

三冠馬が誕生しやすい環境になったとは思えないが、昔ほどのハードルの低さは感じなくなって来ているのも事実。今後はディープインパクトやオルフェーヴルを超える馬の出現を期待したい、余程の事が無い限りは難しいだろうが…少なくとも凱旋門賞を勝つ馬は出来れば三冠馬の中から出て来て欲しい。

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