オグリキャップの有馬記念

 

1990年12月23日 有馬記念 芝2500m 中山競馬場

1着:オグリキャップ 牡6 (武豊)
2着:メジロライアン 牡4 (横山典弘)
3着:ホワイトストーン 牡4 (柴田政人)

レースタイム:2:34.2(良)
レース上がり3ハロン:35.4
勝ち馬上がり3ハロン:35.2
 
武豊を武豊たらしめるのは、何と言っても先ずこのレースではないでしょうか。あのオグリキャップのラストランとなる有馬記念です。笠松の怪物オグリキャップも、晩年に差し掛かると秋2走は大敗の連続。『オグリは終わった…』と誰しもが思っていたにも関わらず、最後の勇姿を見ようと当時の中山競馬場には10万人を超える大観衆が集まっていました。その中で冷静に騎乗し勝利へ導く武豊騎手、騎乗技術もさることながら強靭なメンタル面に脱帽のひと言。この時、まだ弱冠21歳なのだから恐れ入ります。
 

スーパークリークの菊花賞

 

1988年11月6日 菊花賞 芝3000m 京都競馬場

1着:スーパークリーク 牡4 (武豊)
2着:ガクエンツービート 牡4 (竹原啓二)
3着:アルファレックス 牡4 (南井克巳)

レースタイム:3:07.3(良)
レース上がり4ハロン:48.0
勝ち馬上がり4ハロン:47.5
 
時系列が逆転しますが、オグリキャップの有馬記念より前にGⅠ初制覇を果たしたのがあのスーパークリークで挑んだ菊花賞であります。この時は3番人気ながらも5馬身差の圧勝。不利と言われる大外枠からのレースとなりますが、直線では最内を突いてコースロスを相殺する巧みなエスコートで勝利を飾りました。当時、デビュー2年目のまだ19歳でこの騎乗…今の感覚ではちょっと考えられませんね。特に長距離戦は騎手の腕がモノを言うだけにお見事しか言い様がありません。
 

シャダイカグラの桜花賞

 

1989年4月9日 桜花賞 芝1600m 阪神競馬場

1着:シャダイカグラ 牝4 (武豊)
2着:ホクトビーナス 牝4 (柴田善臣)
3着:タニノターゲット 牝4 (小島貞博)

レースタイム:1:37.5(稍重)
レース上がり4ハロン:50.9
勝ち馬上がり4ハロン:50.1
 
これも武豊騎手の神騎乗ではよく例にあがるレースですね。『大外枠は絶対的に不利』と言われる阪神競馬場の1600m戦(改修前)。この桜花賞で1番人気に支持されたシャダイカグラはスタートでまさかの出遅れ、馬券を握りしめていた人も諦めたのではないでしょうか。しかし、逆転の発想でそこから内目のコースを徐々に上がって行くと、直線で抜け出したホクトビーナスをゴール前ギリギリ差し切ったのは驚きの走りでした。ファンは『わざと出遅れた』と、武豊騎手の天才的なレースぶりをそう讃えていましたがその真相は果たして。
 

ナリタタイシンの皐月賞

 

1993年4月18日 皐月賞 芝2000m 中山競馬場

1着:ナリタタイシン 牡4 (武豊)
2着:ビワハヤヒデ 牡4 (岡部幸雄)
3着:シクレノンシェリフ 牡4 (松永幹夫)

レースタイム:2:00.2(良)
レース上がり3ハロン:35.5
勝ち馬上がり3ハロン:34.6
 
この時の武豊騎手もまた手綱捌きが冴え渡ったレース。ナリタタイシンで挑んだ皐月賞です。この年は、ビワハヤヒデとウイニングチケットの2強+ナリタタイシンという図式でした。明らかに、ビワハヤヒデとウイニングチケットが互いに意識し合ってのレースで、4コーナーでもその2頭が外目を上がって行きマッチアップになるかと思われた勝負所。ビワハヤヒデが競り勝ち単独で抜け出したところに、ずっと後方で死んだふりをしていたナリタタイシンが大外からゴール前鮮やかに差し切るという、まさに漁夫の利となる展開を読み切った武豊騎手の手腕によるものでしょう。
 

サイレンススズカの毎日王冠

 

1998年10月11日 毎日王冠 芝1800m 東京競馬場

1着:サイレンススズカ 牡5 (武豊)
2着:エルコンドルパサー 牡4 (蛯名正義)
3着:サンライズフラッグ 牡5 (安田康彦)

レースタイム:1:44.9(良)
レース上がり3ハロン:35.1
勝ち馬上がり3ハロン:35.1
 
これは神騎乗というよりも神判断、と言った方が正しいでしょうか。サイレンススズカの毎日王冠です。コンビ結成当初、『この馬は溜めずに飛ばして逃げた方が良い』と陣営に進言をし、ハイペースで逃げを打ち出すとその通りに圧勝で連勝を続け出しました。その集大成が同レースなのですが、ご存知の通りグラスワンダー&エルコンドルパサーという名馬級の2頭相手にノーステッキで楽勝しているんですよね。しかもこの時は59kgのトップハンデ。恐らく、1800~2000mでは過去を見てもこの馬が1番速かったと思います。
 

トゥザヴィクトリーのエリザベス女王杯

 

2001年11月11日 エリザベス女王杯 芝2200m 京都競馬場

1着:トゥザヴィクトリー 牝5 (武豊)
2着:ローズバド 牝3 (横山典弘)
3着:ティコティコタック 牝4 (武幸四郎)

レースタイム:2:11.2(良)
レース上がり3ハロン:36.3
勝ち馬上がり3ハロン:33.9
 
個人的には武豊騎手の神騎乗No.1と思っているのがこのエリザベス女王杯。それまでずっと逃げや先行で勝ち星を積み重ねて来たトゥザヴィクトリーを、この1戦でいきなり追い込みの戦法に変えるという荒業に出ました。そしてゴール前図った様に差し切り、きっちりと結果を出した武豊騎手。人気を背負った馬で脚質をいつもと真逆にするって普通じゃないですよね。これは後世に語り継がれるべき1戦だと思います。しかも、この2戦後の有馬記念ではやはり逃げて3着に粘るという、変幻自在の騎乗ぶり。さすがです。
 

ステイゴールドの香港ヴァーズ

 

2001年12月16日 香港ヴァーズ 芝2400m シャティン競馬場

1着:ステイゴールド 牡7 (武豊)
2着:エクラール 牡5 (L.デットーリ)
3着:インディジェナス セ9 (D.ホワイト)

レースタイム:2:27.8(良)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
これも未だ記憶に新しい、武豊騎手を語る上で外せない名レース。ステイゴールドのラストランとなった香港ヴァーズです。それまで2着ばかりの詰めが甘いキャラクターだった同馬を、ものの見事に勝てる馬へ仕上げ直した武豊騎手。6戦3勝という相性の良さがそれを物語っています。特にこの1戦では、直線楽に抜け出したエクラールを残り200mからとても届かない距離差を一気に縮めてゴール前で差し切る走りに、全国の競馬ファンは感動と興奮を覚えました。レース後、武豊騎手も『羽が生えたみたい』と語った様に、最後の最後でGⅠタイトルを獲得したこのコンビは一生忘れられないでしょう。
 

キズナの日本ダービー

 

2013年5月26日 日本ダービー 芝2400m 東京競馬場

1着:キズナ 牡3 (武豊)
2着:エピファネイア 牡3 (福永祐一)
3着:アポロソニック 牡3 (勝浦正樹)

レースタイム:2:24.3(良)
レース上がり3ハロン:35.2
勝ち馬上がり3ハロン:33.5
 
近年、最も武豊騎手のGⅠ勝利で盛り上がったのはこの日本ダービーではないでしょうか。長期のスランプに陥った天才が、ディープインパクトの仔でダービーのタイトルを獲得するという嘘の様なストーリーが余計に感動を後押し。しかも、その馬の名前がキズナなのですから。もはや嘘であっても良い、そう思えるくらいに出来すぎたお話を作り上げられるのがこの武豊騎手なのです。神騎乗ではないですが、神演出として勝手にランクインさせて頂きました。
 

キタサンブラックの天皇賞秋

 

2017年12月24日 天皇賞秋 芝2000m 東京競馬場

1着:キタサンブラック 牡5 (武豊)
2着:サトノクラウン 牡5 (M.デムーロ)
3着:レインボーライン 牡4 (岩田康誠)

レースタイム:2:08.3(不良)
レース上がり3ハロン:38.7
勝ち馬上がり3ハロン:38.5
 
さすがにこれもランクインしておかないといけないレースですよね。キタサンブラックで勝利した2017年の天皇賞秋。スタートでよもやの出遅れとなったキタサンブラックでしたが、鞍上の武豊騎手は落ち着いて内目のコースを選択。道中、ジワジワとポジションを上げに行くと直線入り口ではいつの間にか先頭に。そこから宿敵サトノクラウンとの叩き合いを制して見事にタイトルを獲得するという、まさに武豊騎手だからこそ勝てたGⅠではないでしょうか。不慮の事態にも冷静に対処し最善を尽くす、そして結果を残すのは本当に並大抵の人間には出来ない事です。
 

まとめ

 
以上、武豊騎手の神騎乗レースまとめでした。

今回は特にGⅠ限定(サイレンススズカは特例)でレースを選定させて頂きました。あくまでも筆者個人の主観によるものですので、断定的なものではありませんので予めご了承下さい。GⅠ以外にも手を出したいんですけど、それやっちゃうと永遠に終わらないですからね。笑

それ程までに幾多のレースで凄い騎乗を見せてくれる武豊騎手。まだまだ現役を続けられるようなので、次は5000勝を目指して行って欲しいと思います。唯一無二の存在として、日本競馬界を更に高みへ牽引して行ってもらいましょう。ともかく、これからも怪我なく無事に現役生活を送って下さい。

関連記事

関連タグ

著者