欧州チャンピオンを争う大決戦
いよいよ今週の日曜日に迫った凱旋門賞。日本からはクリンチャーが武豊騎手と共に参戦、前走のフォワ賞では無念の最下位敗退となったが敗因の理由はハッキリしており、まだまだ巻き返しは可能だろう。しかし、昨年の勝ち馬エネイブルが連覇をかけ出走するほか、ヨーロッパを代表する強豪勢が一堂に会するのがこの凱旋門賞である。そう簡単には好走を許されないだろうが、そんな有力馬たちを一挙に解剖して行く。
エネイブル
今年の最大の注目はエネイブルの連覇か。昨年は怒涛の6連勝で同レースを圧勝し、一躍ヨーロッパ競馬のヒロインに輝いた同馬。その後、脚部不安を抱え長期休養を余儀なくされたが、復帰戦となった9月のセプテンバーステークスでは相変わらずのパフォーマンスで快勝。改めて能力の高さを見せ付けると共に、凱旋門賞連覇に向けて好スタートを切った。牝馬でまだ斤量にも恵まれている事から、やはり本命候補の筆頭になるだろう。
シーオブクラス
今年の4月にデビューしたシーオブクラス。その初戦は2着に敗れたものの、そこから破竹の4連勝でGⅠタイトルを2勝と絶好調の1頭だ。特に前走のヨークシャーオークスでは強豪馬コロネット以下を寄せ付けず、2馬身半差の完勝で牝馬戦線を制圧。凱旋門賞では最もハンデの利がある3歳牝馬という最強のアドバンテージを武器に打倒エネイブルに燃える。想定オッズでは単独の2番人気に支持されている。
ヴァルトガイスト
今年に入ってメキメキと頭角を現し、現在GⅠを含む4連勝中のヴァルトガイスト。特に前走のフォワ賞はクリンチャー以下を子供扱いする走りでサンクルー大賞を制した実力をまざまざと見せ付けた。父Galileo、母父Monsunと日本でも馴染みある血統構成となっておりある程度のイメージは出来るだろう。前走の様な上がり勝負にも対応可能、重馬場になっても楽にこなせる辺りはある程度信用出来るのではないだろうか。
クラックスマン
昨年秋の英チャンピオンカップでGⅠ初勝利以降3連勝、前走のプリンスオブウェールズステークスでも2着好走と、これまで10戦中4着以下無しの安定感を誇るクラックスマン。どんな相手でも自分のパフォーマンスを発揮出来る強みは馬券の軸に最も相応しい1頭ではないだろうか。距離、展開、条件に問わずある程度の見せ場は作ってくれる筈でそう考えるとエネイブル対抗候補として最有力かもしれない。
キューガーデンズ
6月のパリ大賞でGⅠ初制覇を成し遂げると、前走の英セントレジャーではそれまで3戦無敗のラーティダーを退けてタイトル2勝目を飾ったキューガーデンズ。生粋の長距離砲として、タフな競馬でスタミナ勝負となった際に浮上して来る可能性の高い1頭。何より、一昨年の凱旋門賞でワン・ツー・スリーフィニッシュをやってのけたオブライエン厩舎だけにチーム力込みで怖い存在と言えるだろう。
カプリ
昨年の愛ダービー馬カプリ。英セントレジャーを制した勢いで凱旋門賞にも挑戦するが11着大敗を喫している。一旦GⅢで勝利をあげるも、前走のフォワ賞ではクリンチャーを僅かにかわして5着入線とやや精彩を欠き気味というのが現状である。馬場が悪くなればなる程に条件は好転、キレ勝負よりは間違いなくタフな持続性の高い1頭だろう。こちらもヨーロッパの名伯楽オブライエン厩舎所属だ。
デフォー
ここ2走のGⅠで惜しい競馬が続いているデフォー。今年に入って4戦2勝3着以下無しと本格化して来てはいるが、実績的にはあと一歩か。名手A.アッゼニ騎手を背に、一昨年の凱旋門賞で1番人気だったポストポンドと同オーナー&同厩舎のチームで当時のリベンジを果たしたいところ。馬場自体は軟らかい方が良く、陣営としても雨乞いを懇願しているだろう。
タリスマニック
昨年のブリーダーズカップターフ覇者タリスマニック。それ以降、ダートのドバイワールドカップ以外は安定した成績で、それこそハイランドリールやクロスオブスターズなどの凱旋門賞で上位に来た強豪とも勝ち負けを見せており実力的には十分。やや勝ち味に欠ける所はあるが、条件さえハマれば馬券圏内の好走も大いに有り得る筈。
クロスオブスターズ
昨年の2着馬クロスオブスターズ。それ以降、今年に入って勝ち星から遠ざかってはいるものの前走のフォワ賞で復調気配を見せていただけにまだ見限れない1頭だ。とは言え、ヴァルトガイストに直近で3連敗と決定的な差を付けられており、逆転するには馬場や展開などの副次的要素が必要になって来るだろう。昨年同様に、勝ち切るというよりはヒモ扱いで馬券に組み込みたい存在か。
スタディオブマン
ディープインパクト産駒で今年のフランスダービーを制覇したスタディオブマン。母セカンドハピネスは日本でも全兄に日本でも活躍したマンボネフューがいる。“ディープインパクト×Storm Cat”という黄金配合が欧州の舞台でGⅠの上位を争う姿は非常に微笑ましい限りだ。そのダービー以降は精彩を欠いており、凱旋門賞では厳しい戦いが強いられるがクリンチャーの次に応援したい1頭で要注目である。尚、鞍上にはディープインパクトを凱旋門賞で降したレイルリンク主戦のS.パスキエというのも実に因縁深い。
クリンチャー
今の所、競馬ファンからは半ば諦め加減に見られているクリンチャー。前走のフォワ賞では果敢に逃げるも、直線であっさり後続にかわされ気が付けば最下位の敗退を喫した。しかし、ヨーロッパの競馬にしては馬場が硬く上がり勝負になった経緯を考えれば決して悲観する内容でもない。天候や展開次第ではまだまだ上位に浮上するチャンスはあるだろうし、武豊騎手が『クリンチャーの意外性に期待したい』とコメントしていた様に人気が無ければ無い程怖い。4000勝を達成した勢いでよもやの大金星も??
まとめ
以上、凱旋門賞に出走予定の有力馬まとめ。
今年は例年に比べるとやや小粒の印象か。エネイブルに対抗出来そうなのが、牝馬限定GⅠ2勝のシーオブクラスくらいというのが非常に残念。そういう意味では、クリンチャー自身が日本でのパフォーマンス通りに走れればある程度の上位争いも可能な気さえする。
今回ピックアップしたのは10月3日段階での出走予定馬で上位人気が予想される馬。日本と違い、直近で目まぐるしく動向が変わる海外競馬なので紹介漏れや回避した場合などは予めご了承頂きたい。10月3日の23時から行われる世紀の一戦をお見逃し無く。
今年は例年に比べるとやや小粒の印象か。エネイブルに対抗出来そうなのが、牝馬限定GⅠ2勝のシーオブクラスくらいというのが非常に残念。そういう意味では、クリンチャー自身が日本でのパフォーマンス通りに走れればある程度の上位争いも可能な気さえする。
今回ピックアップしたのは10月3日段階での出走予定馬で上位人気が予想される馬。日本と違い、直近で目まぐるしく動向が変わる海外競馬なので紹介漏れや回避した場合などは予めご了承頂きたい。10月3日の23時から行われる世紀の一戦をお見逃し無く。
父馬:Nathaniel
母馬:Concentric
母父:Sadler's Wells
所属:John H.M.Gosden厩舎(英)
生産:Juddmonte Farms Ltd.(英)
馬主:Khalid Abdullah
通算成績:9戦8勝 (8-0-1-0)
主な戦績:凱旋門賞、ヨークシャーオークスなど