有馬記念直後

 

2019年12月22日 有馬記念 芝2500m 中山競馬場

1着:リスグラシュー 牝5 (D.レーン)
2着:サートゥルナーリア 牡3 (C.スミヨン)
3着:ワールドプレミア 牡3 (武豊)

レースタイム:2:30.5(良)
レース上がり3ハロン:37.6
勝ち馬上がり3ハロン:34.7
 
スタートを決めたフィエールマンはやや行きたがる面を見せるも、早々に落ち着いて道中アーモンドアイをマークする形で追走。明らかに意識する様なレース運びで、4コーナーでもアーモンドアイの外を張りながら併走して上がって行った。直線入り口で競り落とすと後は突き抜けるだけだったが、さすがにそこで力を使い果たして後続に次々とかわされてしまい4着敗退を喫している。とは言え、乗り替わり騎乗でも池添謙一騎手らしい勝負に出た内容。
 

有馬記念直前

 
海外帰りのダメージは一切感じられないフィエールマン(左)

海外帰りのダメージは一切感じられないフィエールマン(左)

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戦前では凱旋門賞の大敗がクローズアップされているフィエールマンだが、あれは洋芝で降雨による相当な重馬場が合わなかっただけ。スタートから2番手でレースを進めてしまったのも加わり、本馬史上最も型から外れた競馬だったのは違いない。逆を言えばほとんどまともに走っていないという考えも出来るだけに、今回の有馬記念ではベストパフォーマンスを出せる状態にあるのではないだろうか。それを引き出すのはグランプリ男の池添謙一騎手、昨年に続いて連覇なるか。
 

凱旋門賞直後

 

2019年10月6日 凱旋門賞 芝2400m ロンシャン競馬場

1着:ヴァルトガイスト 牡5 (P.ブドー)
2着:エネイブル 牝5 (L.デットーリ)
3着:ソットサス 牡3 (C.デムーロ)

レースタイム:2:31.97(重)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
ポンとスタートを出たフィエールマン。馬の行く気に任せて一瞬は逃げたかと見間違う程に先行するものの、逆にそこで前を壁に出来ず少し掛かってしまった様である。ガイヤースを先に行かせ落ち着きを取り戻したものの、世界最高峰の1戦ではそういったミスが命取りとなるのだ。勝負どころでは早々に後退して行ってしまい、結果としてレースを途中で諦める様な形の最下位入線。やはり世界の壁は異常なまでに厚かった。
 

凱旋門賞直前

 
ニューマーケットの坂路を駆け上がるフィエールマン

ニューマーケットの坂路を駆け上がるフィエールマン

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ノーザンファームの新しい取り組みとして、今回はフランスではなくイギリスに滞在して調整を続けているフィエールマン陣営。やはり日本のトレセンに近い施設などから、馬自身も環境が変わらずに稽古を積めるのは大きなアドバンテージだろう。母リュヌドールはイタリアの重賞勝ち馬で、フランスでも走った経験がある。母系からは重厚さを受け継いでおり、ロンシャン競馬場の重い馬場もその適性でこなしてくれると信じたい。鞍上のC.ルメール騎手も母国に錦を飾りたい一心で臨むのだろう。
 

札幌記念直後

 

2019年8月18日 札幌記念 芝2000m 札幌競馬場

1着:ブラストワンピース 牡4 (川田将雅)
2着:サングレーザー 牡5 (岩田康誠)
3着:フィエールマン 牡4 (C.ルメール)

レースタイム:2:02.1(良)
レース上がり3ハロン:36.1
勝ち馬上がり3ハロン:34.9
 
全体的な動きが緩慢で、スタートから流れに乗って行けないフィエールマン。道中は後方待機となり、勝負どころの3~4コーナーでもまだ後ろでモタついてしまった。そこから直線大外へ持ち出すと、ようやくエンジンがかかって伸びて来た所がゴール。ブラストワンピース、サングレーザーには届かず、かろうじてワグネリアンを差し切っての3着となった。あくまで陣営も次が目標であり、内容的にはこれでも十分過ぎる走りだったのかもしれない。
 

札幌記念直前

 
余力十分でも抜群の動きを見せたフィエールマン(奥)

余力十分でも抜群の動きを見せたフィエールマン(奥)

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グッと首を沈め駆け抜ける姿はすぐにフィエールマンと分かる独特のフォーム。札幌記念の最終追い切りも見事な動きで調子の良さを感じさせたが、やはり最大の目標は何と行っても凱旋門賞である。その前のステップレースとは言え、GⅠ2勝馬が中途半端な仕上がりでは出られないのも事実だろう。しかも、今回は同世代のダービー馬ワグネリアンに有馬記念覇者ブラストワンピースが出走。壮行以前に、この3頭の頂上決戦が今から楽しみである。
 

天皇賞春直後

 

2019年4月28日 天皇賞春 芝3200m 京都競馬場

1着:フィエールマン 牡4 (C.ルメール)
2着:グローリーヴェイズ 牡4 (戸崎圭太)
3着:パフォーマプロミス 牡6 (北村友一)

レースタイム:3:15.0(良)
レース上がり3ハロン:34.5
勝ち馬上がり3ハロン:34.5
 
スタートを決めて道中は中団前目の絶好位を進んだフィエールマン。前半は速め、中盤は一気にスローペースとなりレースの読みが難しい1戦となったが、そんな事も意に介さず4コーナー手前で自ら逃げ馬を捕まえに行く競馬。外からグローリーヴェイズが並んで上がって来るも、直線ではその2頭の一騎打ちから最後まで抜かせない勝負根性を見せて振り切った。菊花賞から3000m超えの長距離GⅠを2勝、ディープインパクト産駒では史上初の快挙となる。着差以上の強さでニューヒーロー誕生を予感させる走りだった。
 

天皇賞春直前

 
ルメール騎手を背に追い切ったフィエールマン

ルメール騎手を背に追い切ったフィエールマン

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菊花賞馬フィエールマンが最強ステイヤーの称号獲得なるか。AJCCではシャケトラの復活劇に屈してしまったが、仕上げも途上で極端なスローペースもあって悲観する内容では無かった。元々、ここが春の最大目標だっただけに本番を制すれば問題ない話だ。先日、凱旋門賞登録の話題で持ち切りとなった同馬だが、参戦するにもここは勝利が大前提となる。C.ルメール騎手の3戦連続GⅠ制覇にも注目が集まる。
 

AJCC直後

 

2019年1月21日 AJCC 芝2200m 中山競馬場

1着:シャケトラ 牡6 (石橋脩)
2着:フィエールマン 牡4 (C.ルメール)
3着:メートルダール 牡6 (O.マーフィー)

レースタイム:2:13.7(良)
レース上がり3ハロン:34.6
勝ち馬上がり3ハロン:34.2
 
発馬が良くなかったフィエールマン。道中は馬群の後方に位置し、前を行く先団の様子を窺う形でレースを運んだ。ステイインシアトルが逃げ、ジェネラーレウーノが番手に付けるも予想外に遅い流れで前半を展開、何と1000m=1分2秒というかなりのスロペースとなった。勝負所で仕掛けたシャケトラに付いて行くも、結果的に位置取りの差が最後まで逆転出来ずシャケトラから僅かの差で2着入線。それでも、鞍上のルメール騎手は『こればかりは仕方ない』と楽観的なコメントを残していた。
 

AJCC直前

 
AJCCがキャリア5戦目となるフィエールマン

AJCCがキャリア5戦目となるフィエールマン

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よく考えると末恐ろしい馬かもしれない。史上初となる4戦目での菊花賞制覇は、ある意味フサイチコンコルドのダービー制覇よりも価値がある。馬が若く適性もハッキリしない春とは違い、3歳秋以降はレースでもより完成度が求められる。その中でまだ使い詰めも出来ない体質の馬が、休み明けでGⅠを制するというのは有り得ない快挙なのである。明け4歳になってまだ成長段階のフィエールマン、もしかするととんでもないバケモノとなっているかも。ブラストワンピース、ワグネリアンなどを相手にしている訳ではない。
 

菊花賞直後

 

2018年10月21日 菊花賞 芝3000m 京都競馬場

1着:フィエールマン 牡3 (C.ルメール)
2着:エタリオウ 牡3 (M.デムーロ)
3着:ユーキャンスマイル 牡3 (武豊)

レースタイム:3:06.1(良)
レース上がり3ハロン:34.2
勝ち馬上がり3ハロン:33.9
 
スタートを上手く出して道中は中団追走となったフィエールマン。ペースも想定よりかなり遅くなって瞬発力勝負となったのが幸いした。最後の直線でやや行き場を失うシーンを見せるが、そこで逆に脚が溜まり前が開いてからの反応はまさに一瞬のキレ味。先に抜け出したエタリオウに内から並びかけ最後の100mで叩き合いに持ち込むと、ゴール前で壮絶な叩き合いとなり僅かにハナ差制して見事GⅠ初勝利を飾った。4戦目での制覇は史上最小キャリア。ディープインパクトが晩年の産駒で大物を輩出した。
 

菊花賞直前

 
勝てば史上最小キャリアVとなるフィエールマン

勝てば史上最小キャリアVとなるフィエールマン

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未知なる魅力たっぷりのフィエールマン。ラジオNIKKEI賞でも最後方から大外を猛烈に追い込み僅差の2着と、勝ち馬よりもある意味で存在感たっぷりの走りだった。陣営も当馬の能力を信じつつ、4戦目での菊花賞勝利という偉業達成にチャレンジャーとして挑む。逆を言えばそれだけ期待値の高い証拠でもあり、先週牝馬三冠を達成したC.ルメール騎手が鞍上というのはまさに鬼に金棒だ。狙って行くだけの価値はありそう。
 

ラジオNIKKEI賞直後

 

2018年07月01日 ラジオNIKKEI賞 芝1800m 福島競馬場

1着:メイショウテッコン 牡3 (松山弘平)
2着:フィエールマン 牡3 (石橋脩)
3着:キボウノダイチ 牡3 (戸崎圭太)

レースタイム:1:46.1(良)
レース上がり3ハロン:35.1
勝ち馬上がり3ハロン:34.8
 
予想通り出遅れたフィエールマン。それでも前半は中盤まで上がって前を射程圏に入れた形で悪くない追走だった。しかし、一気にペースが上がった4コーナー手前で置いて行かれると、仕方なく大外をぶん回して直線入り口へ。そこからエンジンに点火すると、他馬が止まって見える程の強烈な末脚で先に抜け出したメイショウテッコンへ迫る走り。半馬身ほど遅れを取ったが意地の2着入線と言ったところだろう。とは言え、普通に走っていれば楽に勝てた競馬だけに正直陣営も落胆している筈だ。
 

ラジオNIKKEI賞直前

 
石橋騎手を背に単走で追い切るフィエールマン

石橋騎手を背に単走で追い切るフィエールマン

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さぁ、未来のGⅠホースとなるであろうフィエールマンの走りを堪能しよう。相手が揃ったラジオNIKKEI賞で、前走の様にあっさりの競馬で完勝したならそれはもう怪物と呼んで良いだろう。それ程までに高いポテンシャルを感じる1頭だけに、ここで無様な競馬を見せないで欲しい。体質が弱くレース後に疲れが出やすいとの事で今のローテーションになっている様だが、馬体がパンとして来れば更にパフォーマンスも上がるという意味でもある。さて、日曜福島で衝撃のレース目撃となるか。
 

山藤賞直後

 

2018年04月14日 山藤賞 芝1800m 中山競馬場

1着:フィエールマン 牡3 (石橋脩)
2着:ニシノベースマン 牡3 (戸崎圭太)
3着:トーセンスーリヤ 牡3 (三浦皇成)

レースタイム:1:48.1(良)
レース上がり3ハロン:34.7
勝ち馬上がり3ハロン:34.3
 
スタートで立ち上がってしまい道中は最後方からの追走となったフィエールマン。しかし、鞍上の石橋騎手は慌てず徐々に進出する競馬を選択する。ペース的には平均からややスローの展開となるも、同馬がお構いなしに直線入り口で先行勢に追い付くと外から持ったままで先頭へ。いざ追われると一瞬で加速し、坂上であっという間に突き放す横綱相撲のレースとなった。これは間違いなく本物、日本ダービーに駒を進めて欲しい1頭である。
 

3歳新馬直後

 

2018年1月28日 3歳新馬 芝1800m 東京競馬場

1着:フィエールマン 牡3 (石橋脩)
2着:サンライズシェル 牡3 (C.ルメール)
3着:パストゥレイユ 牝3 (江田照男)

レースタイム:1:51.3(良)
レース上がり3ハロン:34.4
勝ち馬上がり3ハロン:34.2
 
スタートで立ち遅れて最後方から追走となったフィエールマン。しかし、向こう正面で一気に上がって行き気が付けば番手のポジション。そこで折り合いをしっかり付けつつ直線コースへ。長い直線でも脚色は衰えず、後続の有力馬が上がって来ても類稀な勝負根性でリードは譲らず。最後は内から上がって来たサンライズシェルの追撃をクビ差凌いでの勝利となった。とは言え、道中からの動きを見ても内容的には完勝だろう。次走の昇級戦で更に真価が問われるだろう。
 

3歳新馬直前

 
手塚師が惚れ込む素材フィエールマン

手塚師が惚れ込む素材フィエールマン

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2月3日にデビューを予定していたが、余りにも稽古での動きが良く陣営からもGOサインが出て1週前倒しの新馬戦に出走となった。その追い切りでは、既にデビュー戦で圧勝を飾っているレッドイリーゼを1秒以上追い掛ける併せ馬できっちりと先着。それを見た手塚師がサンデーレーシングの公式サイトに向けたコメントで『デビュー前の馬としては圧巻という言葉を通り越したパフォーマンス』という手放しで絶賛する内容の発言をしている。これは遅れて来た大物となるか。
 

プロフィール

 
フィエールマン(リュヌドール2015)

フィエールマン(リュヌドール2015)

牡馬

父馬:ディープインパクト
母馬:リュヌドール
母父:Green Tune
所属:手塚貴久厩舎(美浦)
生産:ノーザンファーム
馬主:サンデーレーシング

通算成績:9戦4勝(4-2-1-2)
主な戦績:菊花賞、天皇賞春など
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小さく精悍でキリッとした顔立ち、筋肉量と馬体の質感、脚長加減といい人間で言う所のまさにイケメン風の1頭。ディープインパクト産駒の中でもかなりガッチリとした見た目だが、重々しさは全く感じられない。それもバランスの取れた馬体が要因だろう。パワーとキレを兼ね備えた走りが期待出来そうだ。馬体重は不明。
 

血統背景

 
ディープインパクト サンデーサイレンス Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
ウインドインハーヘアー Alzao Lyphard
Lady Rebecca
Burghclere Busted
Highclere
リュヌドール Green Tune Green Dancer Nijinsky
Green Valley
Soundings Mr. Prospector
Ocean's Answer
Luth d'Or Noir Et Or ラインゴールド
Pomme Rose
Viole d'Amour Luthier
Mandolinette


 

兄弟馬

 
ルヴォワール(リュヌドール2014)

ルヴォワール(リュヌドール2014)

牝馬

父馬:ハーツクライ
母馬:リュヌドール
母父:Green Tune
所属:手塚貴久厩舎(美浦)
生産:ノーザンファーム
馬主:キャロットファーム

通算成績:8戦3勝(3-0-2-3)
主な戦績:ミモザ賞など
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近親馬

 
特になし
 

血統評価:1.0pt

 
母はGⅠ馬でファミリーに日本実績はないものの上に兄弟が3頭いて2頭が日本デビュー出来ておらず1頭が2戦2勝でクラシック戦線離脱という魅力的な血統ではあるが今の時点では判断が難しい。ディープインパクト産駒の牡馬である程度今後の参考にしたいのでデビューまでたどり着いてほしい。
 

前評判

 
半姉ルヴォワールもデビューから2戦2勝で圧倒的なパフォーマンスを見せた。それがハーツクライからディープインパクト産駒へ変わった時点で期待値は最高潮に達しているのは間違いない。その表れか、過度な調整はしておらずあくまで馬の成長に合わせた育成方法を取っている。体の弱さがネックの一族となっているが、果たして同馬は??デビューさえ出来れば必ず走って来るだろう。
 

馬名の意味

 

気高く、勇ましく(音楽用語)

 
人名かと思いきや、音楽関連の単語からネーミング。相変わらずサンデーレーシングのセンスは抜群だ。

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