香港ヴァーズ直前

 
O.マーフィー騎手を背に最終調整を行うディアドラ

O.マーフィー騎手を背に最終調整を行うディアドラ

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2月の中山記念以降の6戦は全て海外でレースをこなして来たディアドラ。ここまで長く海外を拠点にして活躍した馬の例はなく、ある種のパイオニア的存在となりつつある。そのタフな連戦の締め括りが香港ヴァーズ。昨年は香港カップに参戦して2着と実績もあり、充実一途の今なら十分に勝機はあるだろう。今回で4度目のコンビとなるO.マーフィー騎手との息もピッタリで、日本の女傑がシャティンの舞台で花を咲かせる事が出来るだろうか。
 

英チャンピオンステークス直後

 

2019年10月19日 英チャンピオンステークス 芝2000m アスコット競馬場

1着:マジカル 牝4 (D.オブライエン)
2着:アデイブ セ5 (J.ドイル)
3着:ディアドラ 牝5 (O.マーフィー)

レースタイム:2:08.42(重)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
発馬後、外からリーガルリアリティが逃げマジカルが2番手追走。注目のディアドラは中団のインを追走し前を見ながらレースを進めて行った。道中は隊列そのままで運んで行くと、マジカルが直線入り口で早々に先頭へ進出して行った。ディアドラは少しもたつくも外に持ち出してから追い出しにかかるも、先抜けしたマジカルを捉えられず、内のフォックスタルを僅かにかわして3着入線に終わった。勝ったのは凱旋門賞から中1週のローテでも勝ち切ったマジカル。
 

愛チャンピオンステークス直後

 

2019年9月14日 愛チャンピオンステークス 芝2000m レパーズタウン競馬場

1着:マジカル 牝4 (R.ムーア)
2着:マジックワンド 牝4 (S.ヘファナン)
3着:アンソニーヴァンダイク 牡3 (W.ローダン)

レースタイム:2:06.49(良)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
スタートから控えて道中は前を見る形でのレースとなったディアドラ。少頭数でスローペース、馬群も密集しその中で終始リラックスして最高の追走となった前半戦。しかし、直線を迎えるとその様相は一転。やはり、海外競馬らしいスペースを作らない肉弾戦となり、ディアドラはことごとく前が壁。一旦ブレーキをかけて外に持ち出すと、そこからグングン加速し最後はアンソニーヴァンダイクに迫る勢いで4着に入った。あ勝負どころがスムーズなら間違いなく2着はあっただろう、実に惜しい敗戦。
 

愛チャンピオンステークス直前

 
マーフィー騎手を背に順調な仕上がりを見せるディアドラ

マーフィー騎手を背に順調な仕上がりを見せるディアドラ

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日本時間で15日午前0時15分に発送予定のアイリッシュチャンピオンステークス。凱旋門賞の前哨戦としても注目の1戦で、ディアドラの他にはクリスタルオーシャンやマジカルなどが出走を予定している。つまりは、ここでディアドラが勝利する様な事があればそれこそ凱旋門賞の有力馬として一躍浮上する大事な1戦である。本馬自体、その路線を視野には入れていないが結果次第では大きく流れが変わって来る可能性もある。O.マーフィー騎手も前走の内容からかなり手応えを感じている様で、これは単なる記念出走とは訳が違う。
 

愛チャンピオンステークス参戦か

 
海外で続戦予定のディアドラ、次は愛チャンピオンS?

海外で続戦予定のディアドラ、次は愛チャンピオンS?

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ナッソーステークスを勝利後、そのローテーションに注目が集まるディアドラ。管理する橋田調教師が帰国してから記者陣の取材に対して、『愛チャンピオンステークスも視野に入っています』と言及している。状態はレース後もすこぶる順調で、愛チャンピオンステークスでの結果次第では、凱旋門賞参戦も十分に考えられるのではないだろうか。ロジャーバローズが屈腱炎で引退という報せの代わりに、競馬ファンにとっては非常に嬉しい朗報となった。
 

ナッソーステークス直後

 

2019年8月1日 ナッソーステークス 芝1980m グッドウッド競馬場

1着:ディアドラ 牝5 (O.マーフィー)
2着:メダーイ 牝3 (L.デットーリ)
3着:ローダー 牝4 (D.タドホープ)

レースタイム:2:02.93(良)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
スタートを決めるも自然な形で馬群の後方にポジションを固めたディアドラ。レースはギュッと馬群を形成し淡々と流れる前半戦、大きな動きも無く最後の直線コースに入って行った。逃げたメダーイが更にセーフティリードを広げてそのまま粘り切るかに思われたが、内から驚異的な反応で一気に上がって来たディアドラがゴール前できっちり差し切って見事なパフォーマンスを見せた。良馬場ならこれだけの走りが出来、斤量差を考えるとまさに圧勝と言っても過言ではないだろう。
 

ナッソーステークス直前

 
ポリトラックのコースで追い切られるディアドラ

ポリトラックのコースで追い切られるディアドラ

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ドバイターフ、プリンスオブウェールズと海外競馬を転戦しているディアドラ。環境が変わっても動じずに自身の体調をキープ出来るのは、やはり牝馬特有の精神力なのだろうか。ここに来て、イギリスで更に調子を上げて来ている様子で、一週前にはO.マーフィーが騎乗して手応えを掴んでいたとの事。今回、3~4歳の若駒を中心にメンバーが構成され、5歳馬はディアドラ只1頭。斤量的にも決して有利では無いが、ここは日本のGⅠ馬として意地を見せて欲しい。
 

プリンスオブウェールズステークス直後

 

2019年6月20日 プリンスオブウェールズステークス 芝1990m アスコット競馬場

1着:クリスタルオーシャン 牡5 (L.デットーリ)
2着:マジカル 牝4 (R.ムーア)
3着:ヴァルトガイスト 牡5 (P.ブドー)

レースタイム:2:10.25(稍重)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
好発から道中は4番手の絶好位で競馬を進めたディアドラ。しかし、4コーナー手前から手応えが怪しくなってジワジワ前との差が広がって行く嫌な展開。直線に入る頃には馬も走る気が失っており、最後は惰性でゴールまで流れ込む様にして6着入線となった。父ハービンジャーも同競馬場でレコード駆けした様に、やはり良馬場での時計決着が良かったのだろう。かなり下が悪かった様子で、さすがにこれでは能力も出し切れない。
 

プリンスオブウェールズステークス直前

 
香港のクイーンエリザベス2世カップで6着に敗れたディアドラ。そこから立て直しを図り、今度はヨーロッパのGⅠ戦線にチャレンジの手を伸ばして来た。アスコットで行われるプリンスオブウェールズステークスは歴史ある1戦。海外の強豪馬が揃って出走する格の高い1戦である。ディアドラの父ハービンジャーは思い返せばアスコット競馬場のキングジョージを11馬身ぶっちぎりのレコードで駆け抜けた。そのDNAがしっかりと受け継がれているならばここで覚醒する可能性は高い。
 

ドバイターフ直後

 

2019年3月30日 ドバイターフ 芝1800m メイダン競馬場

1着:アーモンドアイ 牝4 (C.ルメール)
2着:ヴィブロス 牝6 (M.バルザローナ)
3着:ロードグリッターズ セ6 (D.タドホープ)

レースタイム:1:46.78(良)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
内枠からスタートで立ち遅れたディアドラ。道中はインの後方でジッと我慢し脚を溜める作戦に。アーモンドアイが外からジワジワ進出するも、内は馬群が形成されて動くに動けない状況のまま直線コースへ。外へ持ち出してから伸びてはいるものの、前の3頭が大きく後ろを引き離して既に態勢も決したままフィニッシュ。全体的に1800mはやや忙しく、モレイラもその点はもう少し距離はあった方が良いという見解だった。次は香港へ参戦する予定との事。
 

ドバイターフ直前

 
ドバイターフは2戦目、慣れも見込めるディアドラ

ドバイターフは2戦目、慣れも見込めるディアドラ

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ラストの直線ではやや強めに追われて本番さながらの走りを披露したディアドラ。実に機敏で軽快な動き、最後の1Fは何と11秒1と出色の時計を叩き出している。環境変化にも強く、昨年も上位勢と差のない3着。中山記念こそ負けたものの、スローペースからの決め手勝負になればアーモンドアイを脅かす存在になってもおかしくはない。鞍上はこちらもJ.モレイラ騎手を配置。
 

中山記念直後

 

2019年2月24日 中山記念 芝1800m 中山競馬場

1着:ウインブライト 牡5 (松岡正海)
2着:ラッキーライラック 牝4 (石橋脩)
3着:ステルヴィオ 牡4 (丸山元気)

レースタイム:1:45.5(良)
レース上がり3ハロン:35.6
勝ち馬上がり3ハロン:33.7
 
いつも通り、ややもっさりとしたスタートで後方集団の一角に位置したディアドラ。前が相当飛ばしてハイペースを作り隊列は縦長の展開となった。4コーナーで各馬がロングスパートし出すと、ディアドラ自体も初めてに近いレース運びだった事からも馬が戸惑い追い上げる事で必死だった。そうなると脚も溜まらず、ただただ調教代わりに回って来ただけの1戦となってしまった。とは言え本番は次のドバイターフ。昨年3着の雪辱を果たすと共に、日本総大将アーモンドアイとの対決も見ものである。
 

中山記念直前

 
ルメールを背に軽快に坂路を駆け上がるディアドラ

ルメールを背に軽快に坂路を駆け上がるディアドラ

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ディアドラに関しては欠点らしい欠点が見当たらない。どんな環境でもどんな状態でも自分の走りは遂行する精密機械の様な馬で、特に古馬になってからの走りには更に凄みを増して来ている。今や牝馬戦線ではほぼ相手がおらず、牡馬に混じって競馬をするのが当たり前になって来た。今回の中山記念で牡馬のGⅠホース達を蹴散らせば、次のドバイターフではあのアーモンドアイと激突する事になる。管理する橋田調教師も同馬に関してはさすがに手放しで評価するコメントを残している。
 

ルメール『ペースが落ち着いて…』

 

2018年12月9日 香港カップ 芝2000m シャティン競馬場

1着:グロリアスフォーエバー セ4 (S.デソウサ)
2着:ディアドラ 牝4 (C.ルメール)
3着:タイムワープ セ4 (Z.パートン)

レースタイム:2:01.71(良)
レース上がり3ハロン:不明
勝ち馬上がり3ハロン:不明
 
ディアドラは内枠スタートで道中前から離れた5番手追走。見た目は縦長の隊列で一見速いペースかと思われたが、むしろ逆にスローで展開された。4コーナーで徐々にエンジンを吹かして行くと直線は大外へ。そこからサングレーザーをかわして更に加速して行くも、前で粘り込みを図ったグロリアスフォーエバーを1馬身捉えられず2着に敗退した。自信があったのだろう、ルメール騎手もレース後に悔しそうな表情で取材にスローペースを嘆いていた。
 

香港カップ直前

 
ルメールを背に気持ちよく追い切りを行うディアドラ

ルメールを背に気持ちよく追い切りを行うディアドラ

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芝コースで追い切ったディアドラをルメール騎手は大絶賛。雄大なフットワークで一切手が動かない中、ディアドラは完歩の大きい走りで雄大に走り抜けた。『手応えが抜群、とても良い状態』と言葉少なにも自信がヒシヒシと伝わって来る口ぶりが印象的だった。上がり32秒3で差し切った前走、春のドバイターフではあわやのシーンで3着に入った力を見る限り、ここでもサングレーザー相手以下でも十分戦える算段だ。ここで2つ目のGⅠ制覇を達成し、来年はアーモンドアイとガチンコの勝負を見てみたい。
 

府中牝馬ステークス直後

 

2018年10月13日 府中牝馬ステークス 芝1800m 東京競馬場

1着:ディアドラ 牝4 (C.ルメール)
2着:リスグラシュー 牝4 (M.デムーロ)
3着:フロンテアクイーン 牝5 (蛯名正義)

レースタイム:1:44.7(良)
レース上がり3ハロン:34.8
勝ち馬上がり3ハロン:32.3
 
カワキタエンカが飛ばして前半1000m58秒1の乱ペース。それでもある程度の余力で直線半ばまではよもやの逃げ切り態勢に。さすがに坂上で力尽きると、ジュールポレールやリスグラシューなどが襲い掛かり一気に混戦となる。しかし、それらをまとめて大外からディアドラがかわして圧巻の追い込みV。斤量56kgを背負って上がり32秒3の競馬は恐れ入った。同世代のライバルとの勝負付けはこれで済んだと言っても過言ではないだろう。今後は天皇賞秋かエリザベス女王杯、はたまた香港の予定だそうだがローテーション的には後者の2レースか。
 

府中牝馬ステークス直前

 
クイーンステークス後は府中牝馬ステークスを目標に早めから動き出していたディアドラ。陣営も確かな手応えを掴みつつあり、牝馬同士の戦いに終止符を打ちたいところだろう。春のドバイターフでもリアルスティールなどとほぼ互角の走りを見せていただけに、もはや同世代はおろか牝馬の中では役者が一枚違うと言っても過言ではない。それを見せ付ける為に今回はしっかりと結果を出したい。
 

クイーンステークス直後

 

2018年7月29日 クイーンステークス 芝1800m 札幌競馬場

1着:ディアドラ 牝4 (C.ルメール)
2着:フロンテアクイーン 牝5 (蛯名正義)
3着:ソウルスターリング 牝4 (北村宏司)

レースタイム:1:46.2(良)
レース上がり3ハロン:34.6
勝ち馬上がり3ハロン:33.7
 
例の如く、スタートで立ち遅れ後方からの競馬を余儀なくされたディアドラ。しかし、幸いにも前がやり合って前半59秒ジャストの早めに流れる1戦となった。後半で徐々にポジションを押し上げて行くと、直線は外目に出して一瞬の内に突き抜け2着フロンテアクイーンに3馬身差を付ける圧巻の競馬。騎乗したC.ルメール騎手も『本調子では無かったけど自信があったし能力が抜けていたね。本当に楽勝だった』とコメントしている。この調子なら牡馬勢とも互角に戦えそうで、今後のローテーションが気になるところだ。
 

ディアドラ

 
ディアドラ(ライツェント2014)

ディアドラ(ライツェント2014)

牝馬

父馬:ハービンジャー
母馬:ライツェント
母父:スペシャルウィーク
所属:橋田満厩舎(栗東)
生産:ノーザンファーム
馬主:森田藤治

通算成績:27戦8勝(8-4-4-11)
主な戦績:秋華賞、ナッソーステークスなど
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元を辿れば母ライツェントはソニンク一族の出自で、近親には日本ダービー馬ロジユニヴァースなどがいるエリートの母系である。現役時代はパッとしなかった母だが、2番仔からオープン馬のオデュッセウスを輩出するなど繁栄ファミリーの底力を即発揮していた。そこにハービンジャーを配合して産まれたのがこのディアドラ、まさに走る為の下地が十二分に揃っていたと言えるだろう。
 

血統背景

 
ハービンジャー Dansill デインヒル Danzig
Razyana
Hasill Kahyasi
Kerali
Penang Pearl Bering Arctic Tern
Beaune
Guapa Shareef Dancer
Sauceboat
ライツェント スペシャルウィーク サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
キャンペーンガール マルゼンスキー
レディーシラオキ
ソニンク Machiavellian Mr.Prospector
Coup de Folie
Sonic Lady Nureyev
Stumped


 

兄弟馬

 
オデュッセウス(ライツェント2013)

オデュッセウス(ライツェント2013)

セン馬

父馬:ファルブラヴ
母馬:ライツェント
母父:スペシャルウィーク
所属:手塚貴久厩舎(美浦)
生産:ノーザンファーム
馬主:ユアストーリー

通算成績:24戦3勝(3-2-1-18)
主な戦績:橘ステークスなど
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近親馬

 
ロジユニヴァース(アコースティクス2006)

ロジユニヴァース(アコースティクス2006)

牡馬

父馬:ネオユニヴァース
母馬:アコースティクス
母父:Cape Cross
所属:萩原清厩舎(美浦)
生産:ノーザンファーム
馬主:久米田正明

通算成績:10戦5勝(5-1-0-4)
主な戦績:日本ダービーなど
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ジューヌエコール(ルミナスポイント2014)

ジューヌエコール(ルミナスポイント2014)

牝馬

父馬:クロフネ
母馬:ルミナスポイント
母父:アグネスタキオン
所属:安田隆行厩舎(栗東)
生産:ノーザンファーム
馬主:サンデーレーシング

通算成績:18戦4勝(4-2-0-12)
主な戦績:函館スプリントステークス、デイリー杯2歳ステークスなど
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血統評価:1.0pt

 
ソニンクファミリーとしては、日本である程度繁栄していると言えるが母ライツェントやアコースティクスやルミナスポイントなど現役結果を出していない牝馬達からも重賞馬やG1馬が複数出ているのは評価できる。当馬が登場するまでとしては母ライツェント単体でみると評価は低かったが当馬の登場によりファミリー力を改めて評価しなければならいだろう。ただどの母も連発して重賞馬を出せていないので安定感にはかける。
 

前評判

 
2015年のセレクトセールで約2300万円と、知名度の低い個人馬主にしては大枚を叩いて落札されている。そういう意味でも当時から同馬の評価は高かったのだろう。何より、ソニンク一族の系譜を引き継いだ上での活躍は、同時に繁殖牝馬としても十分に良い仔出しをするという裏付けにもなる。その角度から考えると、数千万円などむしろ安い方ではないだろうか。ディアドラの今後の発展が益々楽しみである。
 

馬名の意味

 

ケルト神話に登場する女性名

 
1つ上のオデュッセウス(ギリシャ神話の英雄)からのインスピレーションではないだろうか。

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