2017年5月23日 更新

【訃報】武豊騎手の父・“ターフの魔術師”武邦彦氏が死去

現役時代は“ターフの魔術師”の異名で知られ、幾多の大レースを勝利した武邦彦氏が12日未明に入院先の病院で亡くなった。ロングエースやあの天馬トウショウボーイの手綱を取るなど中央通算1163勝。また、調教師では375勝を挙げた。

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武邦彦氏

武邦彦氏(享年77歳)

武邦彦氏(享年77歳)

生年月日:1938年10月20日

通算成績:7629戦1163勝(騎手)
主な騎乗馬…ロングエース、トウショウボーイなど

通算成績:4193戦375勝(調教師)
主な管理馬…バンブーメモリー、メジロベイリー、オースミタイクーンなど

三男に武豊騎手、四男に武幸四郎騎手がいる。
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関西所属の騎手として初の1000勝を記録した名手。

八大競走8勝を含む重賞80勝を挙げ、ダービー馬・ロングエースや希代の名馬・トウショウボーイなどの鞍上を任された。1984年に引退後は、調教師としてバンブーメモリーやメジロベイリーなどのGⅠ馬を手掛けるなど、長きに渡り競馬界の第一線で活躍する。

ロングエース&トウショウボーイの主戦

1972年 日本ダービー ロングエース

前年から流行していた馬インフルエンザの影響で7月に開催された、通称「七夕ダービー」。

ランドプリンス&タイテエムとの3強対決と言われた中、1番人気の支持に応えて見事勝利。レースを見てもらうと分かると思うが、当時は30頭立てなどが当たり前。今よりも騎手の腕が結果に大きく反映される時代で、だからこそ武邦彦氏の様な存在が評価されていたのだ。

このレースでも、内からいつの間にかスルスルと抜け出して来ている。まさに“ターフの魔術師”である。

1977年 有馬記念 トウショウボーイ(2着)

中央競馬の歴史上、最高の名勝負とも言われる22回の有馬記念。

トウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスの激闘から「TTG世代」とも謳われた3頭の激突は今見ても鳥肌が立つような衝撃のレースである。

特にトウショウボーイとテンポイントがスタートからゴールまで2頭並んでそのまま決着するなど、現代の競馬では有り得ない内容だ。この時のトウショウボーイの鞍上が武邦彦騎手。
騎手としては遅咲きの方で、デビュー17年目にして初の八大競走(桜花賞)を制覇。同年にロングエースでダービーも勝つなど、そこから一気に大レースでの常連ジョッキーとなる。

その他、タケホープ・キタノカチドキ・ハッピープログレス・ニホンピロウイナーなど歴代の名馬にも跨がり数々のGⅠ勝利を記録している。

通夜では武豊騎手が涙を見せる場面も

親族代表で挨拶をする三男・武豊騎手

親族代表で挨拶をする三男・武豊騎手

普段、冷静沈着で表情を変えない武豊騎手も、さすがに父との別れの場では声を詰まらせた。

挨拶では、「春から体調を崩し始め、それからは入退院を繰り返していました。また何事もなかったかのように、ひょうひょうと元気な姿で戻って来てくれると願っていましたが、それも叶わぬものとなってしまいました」と涙ながらに話した。

いたってクールな天才ジョッキーも、やはり一人の人間である。幼少の頃から育ててくれた父の死にはその目頭も熱くなった様だ。
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2009年の定年引退時、親子3人での記念撮影

2009年の定年引退時、親子3人での記念撮影

左・四男の幸四郎騎手
中・三男の豊騎手
右・武邦彦氏

「父子鷹」とはまさにこの家族の事を言うのだろう。この系譜が存在していなければ、恐らく日本の競馬界は10年以上も遅れていただろうし、メディア進出という点でも武兄弟二人の功績は非常に大きいものがある。
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まとめ

先日の清水成駿氏が亡くなったのも束の間、今度は武邦彦氏までもが。

ひとつ巨星が堕ちると、立て続けに他の星も流れ星の如く堕ちて行くと言われているが…まさか、ここまで大きい星だとは思いもよらなかった。一時代を築いた人の死と言うものは、それに魅了された者達の心の虚無感をも平気で生み出してしまう。

不幸中の幸いは、武豊騎手が騎乗停止中だった事。スケジュール的にも余裕があるので、父・邦彦氏との別れについてゆっくりと向き合い色々と考えられたのではないだろうか。武幸四郎騎手も、日曜の小倉で騎乗を終えた後、トンボ返りで栗東に戻ったそう。

本当に今までお疲れ様でした。武豊・武幸四郎両騎手を世に出して頂きありがとうございました。武邦彦氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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